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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第1章 ~夢の始まり~
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第1話  ~少女との邂逅~

 新春を迎え、桜が舞う4月の上旬。とある平凡な高校生――八条はちじょう空人そらとは、学校の教室で窓の外をぼんやりと眺めていた。


 「高校生活か・・・・・・」

 

 彼の通う快星かいせい高校は、全国でも真ん中より少し上の偏差値だった。彼の学力は、その快星高校1年生の中でも真ん中より少し上、中の上といったところである。


 そんな彼は、入学して間もないこの教室でぽつんと1人、友達もまだできていなかった。周りを見渡すと、空人のように1人で机に座っている人もいれば、もうすっかり打ち解けたのか数人で机の周りに固まり、漫画やゲームの話をしている人達もいる。入学初日などこういうものだ、と空人は思った。空人にも小学、中学時代からの友達はこの高校に通っていたが、クラスは離れ離れになってしまったようだった。


 そんな時、ふと教室の入り口を見ると――、


 「・・・・・・」


 どこか見覚えのあるような――、


 教室に入ろうとする1人の少女と目が合った――。


 あの女の子、どこかで・・・・・・。


 空人は自分の記憶からあの少女を探し出すが、どうにも思い出せなかった。


 気のせいか・・・・・・。


 その少女は、少しこちらと目が合ったかと思うとすぐに目をそらし、自分の席へと向かった――って、こっちの方に近づいてくる・・・・・・?

 

 少女は空人の丁度右隣の席で立ち止まった。

 そして、もう一度こちらに目を向けてきた。

 

 肩より少し下まで伸びた限りなく白に近い灰色のセミロング。

 希望に満ちたような輝く瞳。

 誰からも好かれそうな、ふんわりとした可愛らしい表情。

 空人はその容姿に、少しばかり見惚れてしまった。


 「おはよう。隣の席だね。これからよろしくね~」


 と、少女が話しかけてきて空人は我に返った。


 「あ、うん。こちらこそよろしく」


 少し見惚れていたせいか、急に我に返ったので反応が少しぎこちなくなってしまった。変な風に思われてないといいな・・・・・・。

 

 そう返した後、少女は席に座りこちらに話しかけてきた。


 「あなたの名前はー?」


 「俺は八条空人。好きに呼んでよ。君は?」


 「わたしは、花崎はなざき結夢ユム。ユムって呼んでいいよっ。えーっと空人くんは――」


 ガラッ!!


 ――と、ユムが何か話そうとしたところで、このクラスの担任らしき女性が教室の扉をスライドさせ教室に入ってきた。


 「あっ、先生来ちゃった、またあとでね~」

 

 「そうだね」

 

 タイミングが悪いな・・・・・・。と、内心思わないでもなかったが、仕方なく前を向く。

 担任の自己紹介や今後の日程など、学校での話がしばらく続いた後、クラスで男女別に廊下に列を作って並び、先生が学校案内をした。職員室、理科室、放送室など、一般的な学校にある施設をしばらく見ながら歩き回り、教室に着いた直後に授業の終わりの予鈴が鳴った。


 「はい、では明日から高校生活頑張ってくださいね。また明日ー」


 担任のその一言の後、周りのみんなは一斉に席を立ち、帰ってゆくのだった。


 「じゃあ空人くんっ、また明日ね~」


 「うん。また明日」


 ユムはそう言うと教室から出ていった。

 もうちょっと話がしたかったな・・・・・・。あと、可愛かったな・・・・・・。

 空人は少し名残惜し気に席を立ち、教室を後にするのだった。

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