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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第2章 ~夢と記憶~
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第18話 ~再び戻る平穏~

2章突入です。投稿ペースは、気にしないでください・・・・・・。

 空人が入院してから約2週間が経過した。空人の怪我も治り、今日から通学を再開することとなった。あれからも毎日のようにかのんと彩花は空人のお見舞いに来て、その日授業で勉強した内容やプリントを空人に見せていた。ユムにも空人が入院しているという情報は行き渡っていたが、お見舞いには一度も来ていなかった。


 空人は学校へ到着し、久々に見る校内の景色を眺めていた。

 学校久々に来たな・・・・・・。何かこういうのって教室入りづらいよな・・・・・・。

 少し躊躇いつつも、自分の教室のドアをゆっくり開ける空人。すると、1人の視線がこちらへ向けられていた。


 「あ、空人くんっ! 退院おめでとうっ!」


 「・・・・・・おはよう、ユム」


 元気で可愛いらしいその姿を久々に見た空人は自然と笑みをこぼす。


 「はいっ! 退院祝いにコレ!」


 そう言って差し出してきたのはピンク色のリボンと専用のラップで包装されたとてもおいしそうなクッキーだった。しかも、見る限りはおそらく手作りだ。


 「え? いいのか?」


 「うんっ! 空人くんが退院するまでに割と練習したから美味しく作れてると思うんだけどね~」


 まさか、俺のために作ってくれるなんて・・・・・・!


 「ありがとう、ユム」


 「えへへっ」


 ああ、今日は何と幸せな日なんだろう・・・・・・。

 突然舞い降りた幸運に感謝する空人。


 「あ、そう言えば今日かのんちゃんが部活やるって言ってたよ~」


 「そうか、分かった」



 ――放課後、空人はユムに先に行くように言われて一人で部室へ向かう。

 ユム、何か用事でもあるのかな。

 

 そして空人は部室の扉の前に到着した。

 かのんは流石に来てるよな。

 空人が部室のドアを開けると――、


 パァンッ!


 「空人さん、誕生日おめでとうございます!!」


 「え・・・・・・?」


 いきなり目の前でかのんにクラッカーを鳴らされた空人は唖然とした。

 そうか今日俺、誕生日だったな・・・・・・、すっかり忘れてた・・・・・・。


 「誕生日教えたことあったっけ・・・・・・?」


 「ええっと、中学の卒業アルバムに載ってたのを見たんです」


 「そうだったのか・・・・・・」


 「こ、これ! 誕生日プレゼントです!」


 かのんは赤い小さな包みを空人に手渡した


 「貰っていいのか?」


 「は、はい! 開けてみてください!」


 空人が『何だろう?』と、包みを開いてゆく。

 その間かのんは、空人がどんな反応をするかそわそわしながらその様子を見ていた。


 「お、マグカップか!」


 中に入っていたのは、白い本体に薄い水色のラインが入ったマグカップだった。


 「ありがとうな、かのん!」


 「い、いえ、今までのことも含め私からの感謝の気持ちです!」


 「空人くんお誕生日おめでと~!」


 空人の後ろからユムが部室へ入ってきた。


 「ユムも誕生日のことを聞いていたのか・・・・・・」


 「うんっ! 私は一応さっきのクッキーがプレゼントだよ~」


 「そうか、2人共ありがとうな!」


 空人は、妹以外に誕生日を祝ってもらえてとても嬉しかった。勿論、退院の祝いも兼ねてということは理解している。それでも空人にとって幸せなことだった。


 「さあ、ケーキも買ってありますよ~」


 「おお、美味そうなケーキだな!」


 「部室でこんなことしていいのか分からないけどね~」


 「い、いいんです! 部長の私が許可します!」


 「許可するのは顧問じゃないのか・・・・・・」


 そもそも今のところ研究部の活動内容が皆無だったため、余程のことが無い限りは許可など必要ないような気がしなくもなかった。


 「ち、ちなみにさっきのマグカップは私のものとおそろいです・・・・・・」


 かのんが顔を赤く染め空人の方をチラチラと見ながらそう言った。


 「そうか、大切にするよ」


 「かのんちゃんの目的ってそれだったんじゃないの~?」


 ユムが悪意無く思ったことを口にした。


 「そ、そんなことないですよ! ね、ねえ空人さん?」


 「俺に聞くのか・・・・・・」


 動揺を隠しきれないかのんが何故か本来渡す相手である空人にそう聞いた。

 そこで、何かを思い出したようにユムが口を開く。


 「そう言えばさ~」


 「どうした? ユム」


 「明後日って、定期試験だよね~?」


 空人とかのんがフォークを持ったまま硬直する。


 「「えええぇぇぇえ~~~~~~~!?」」


 部室に、2人の声が響き渡った・・・・・・。

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