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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第1章 ~夢の始まり~
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第11話 ~新入部員~

若干遅れました。

 「じゃあ、また」


 「は、はい!」


 かのんと別れた後、教室へ向かう。

 教室へ入ると、そこには冊子とにらめっこするユムの姿があった。


 「う~ん・・・・・・」


 「おはよう、ユム」


 「あ、空人くんっ、今日は早いねぇ」


 「たまたま早起きしてな」


 冊子の横に空欄のプリントがあるのを見る限り、ユムはまだ部活が決まっていないようだった。


 「どうしよう! 全然決まらナインダケドっ!」


 全く決まらなくて焦っているせいか、ユムのイントネーションとテンションがおかしい。

 それを横目で見つつも空人は席に座る。


 「ユム、まだ決まってなかったんだ・・・・・・」


 「あ~もうっ! 私ってこんなに物事を決めるのが遅い人間だったっけ!」


 いつも近くで見ていて分かったが、ユムはかなりマイペースな人間だ。たまに遅刻寸前で登校してくるのも納得がいく。まあ、人のことは言えないが・・・・・・。


 そこで、空人はユムに提案してみる。

 

 「ユム、決まらないようなら研究部に入ってみないか?」


 「研究部って何する部活なの~?」


 「行く時間も帰る時間も内容も自由な部活だね。ユムにはぴったりかもしれないな」


 「そうなんだ・・・・・・って、それどういう意味!? まあ、焦って適当に書くよりはいいかもしれないし、そうしようかな~」


 そう言うと早速空欄だったプリントに”研究部”と書き込んだ。


 「よしっ、後は提出するだけだね~。じゃあ空人くんっ、これからよろしくね~」


 「ああ、よろしく」



 ――そして放課後、2人は部室へ向かった。


 「おじゃましまーす」


 ドアを開けるとかのんはまだ来ていないようだった。


 「部長が来るまで待つとするか・・・・・・」


 と言っても、部長が居ても居なくても活動内容はそこまで変わらないなと思った空人だった



 ――10分程経ったところで、ガチャッとドアが開かれた。


 「お、お待たせしました空人さん・・・・・・って、こちらの方は・・・・・・?」


 「お、来たか。今日から研究部に入ることになった俺のクラスメイトだ」


 「花崎結夢ですっ! よろしくね~」


 「あ、柏木花音です、よろしくお願いします」


 自己紹介を済ませたところで、とりあえず3人はそれぞれ椅子に座った。


 「で、今日も何も決めてないのか?」


 「あ、はい、そうです・・・・・・」


 とりあえず集まっておしゃべりだけの部活になりつつあるな・・・・・・。

 そこで、ユムが口を開く。


 「2人は元々知り合いだったの~?」


 「はい、中学の時に出会いました・・・・・・で、出会いましたは何か・・・・・・こ、恋人っぽいですね・・・・・・」


 そう自分で言って赤くなったかのんを見て空人は苦笑する。


 「え!? 二人は恋人なの!?」


 「は、は・・・・・・いえ、違います・・・・・・」


 一瞬、はいと言いかけたかのんは再び顔を赤らめた。一方のユムも多少天然が入っているようで、話がややこしくなるところであった。


 「逆に、お二人は元々知り合いでは無かったのですか?」


 「うん、この学校に入って初めて知り合ったよ~、隣の席なんだ~」

 

 「と、隣ですか!? 羨ましいです・・・・・・」


 「え? 何か言った?」


 「い、いえ、別に何も・・・・・・」


 後半は小さな声で空人にもよく聞こえなかった。


 「ふぅー、今日も授業疲れたな・・・・・・」


 「とか言って空人くん寝てたでしょ~」


 「今日はユムも寝てたけどな」


 「あ、バレタ?」


 そう言って2人で笑ってるのを見てかのんはそわそわしながら聞いてみた。


 「ふ、二人は! お、お付き合いされてるんですか!?」


 「いや、違うよ」


 「いや~、そう言う風に言われると照れちゃうな~」


 ユムは何を思ってそう言ったのか良くわからなかった。


 「よ、良かったー・・・・・・」


 「ん? 何が良かったの?」


 「い、いえ、何でもないですよ!」


 顔を赤らめて両手を思いっきり振るかのんがちょっと面白かった。

 

 「空人くん、あんな姿勢で寝てばかりで疲れたでしょ~、肩もみしてあげる~」


 ユムは椅子から立ち上がって空人の肩を揉み始めた。


 「わ、わ、私がやります!」


 「いいよ~、私がやるよ~」


 「い、いえ! 花崎さんは休んでいてください!」


 「いやいや~、私もやるよ~」


 無理やりユムを押し出して肩揉みを始めるかのん。それをユムが若干押し返して2人は半分ずつ揉み始めた。若干修羅場化してきたようだったが、空人は両手に花状態で満更でもない様子だった。

 ああ、これが幸せってやつか・・・・・・。

 空人にとって、幸福な時間がゆっくりと過ぎてゆくのであった。

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