表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

Page2.番人




匂いがする。



暗闇のなか、まるで鈴の音のように美しい少女の声が響いた。

目を覚ましたその少女は、長い髪を払いのけながら、冷たく光る眼を、丘の下へと向けた。

そこに並ぶ何百もの石の数だけ、腐った死体が眠るそこは、彼女の居場所であり、その中に紛れている墓のひとつは、“彼女”の墓だ。

今夜もそこに、やってきた。

旅人が、ひとり。


「消さなきゃ・・・」


墓を荒らす、やつらは。

きっとまた、この町の探索にきたんだわ。

懲りないやつら、と少女は左の金に輝く目意外を覆う古びた包帯に触れながら、小さく舌打ちをした。

彼女の横に聳え立つ、枯れた大木に刺さる、あまりに物騒な首切り鎌についた長い取っ手を右手だけで掴み、ずしりと重いだろうに、彼女はなんなく、その細い腕で抜きあげた。


「大丈夫、守るから・・・」


銀色に鈍く輝く、その大きな刃に手を添えながら、優しく微笑む。

辺りの空気が、一瞬、やわく揺るいだ。

少女は見慣れた空に浮かぶ三日月を見上げ、唇を噛みしめる。




「私は、ここ(墓地)の番人だもの」




守らなくちゃ。



タン、



その足音は、静かに、まるで羽音が一瞬なっただけのように。

彼女はもう、すでにそこにはいなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ