頽れた瑞恵
初めての投稿なのでおかしな点があるとは思いますが、読んでいただけると幸いです。
僕は…ある病室で目が覚めた。
そこの病室には僕以外に何人もの子供が眠っていた。
ベッドから起きてみると酷く体がダルく腕や体に発疹ができていた
「いったい、突然何があったんだろう…。」
僕はある村に住んでいた。村には前からいつか病気が流行ると都心から度々訪れていた医学者達が村人全員に警告し
そして予防も皆受けた。
なのにどうして…僕は戸惑いを隠し切れなかった
僕の住んでいる村には昔から謎の流行病があったようだ、
どんな病気なのかは資料はまったく残っておらず闇の中に封印されていた
僕はとりあえずはこの病院内を歩き回ってみることにした。
「これを借りていこうかな」
ベッドの近くに置いてあった松葉杖を手に取った。とても自分の足だけじゃ歩けそうにないからだ
病院内は意外と狭く、簡単に歩け回れそうだった。
それぞれの病室を覗いてみてある事に気づいた
「大人が…いない」
僕は新たにショックを受けた、病人の中に大人がまったく見当たらずむしろ子供しかいないのだ。
「これが昔からこの村にある流行り病の特徴?」
そう考えながら、診察室を目指した。せめて自分にどんな症状が起こってるか詳しく知っておきたい
病院の廊下を歩いていると看護婦さんが何やら白い布が被せられた何かが台に乗せられ運ばれてきた。
「看護婦さん、それ何を運んでるんですか?」
そう聞くと看護婦さんは気まずそうな顔で言った。
「これは…病気で死んでしまった子供よ…」
「え…」
僕は反射的に白い布を取ってしまった。
そこにはまったく原型を留めていない「身体」があった
僕と同年代ぐらいの…恐らく女の子だろうか
あまりにも酷い光景だったので僕は吐き気を催し床に膝を付いた。
「ぐっ…ぐぅ…」
「だ、大丈夫?!」
「え…えぇ、大丈夫ですよ」
僕は吐き気を必死に我慢して立ち上がった。
「この流行病はあまりにも酷すぎるわ…。」
看護婦さんが白い布を遺体に被せながら言った
「いったい…これはどんな病気なんですか」
「私も詳しいことは知らないけど…他の子供達を見てわかったのは
異常なまでの体のダルさや、今貴方の腕にもできてる発疹、激しい下痢と腹痛と頭痛
食べ物もまともに喉を通らなくなるわ、これ以上は…酷すぎて子供には言えないの、ごめんなさい」
「そうです…か。」
「貴方も今は病人なんだから早く病室に戻りなさい、
都心から来てる先生方も必死でこの病気を調査しているわ。」
「はい…。」
「ぁ、ちょっと待って。」
「?なんですか。」
看護婦さんが突然呼び止めたので何事かと思った
「この病気の最大の特徴は…子供しか病気にならないことよ。」
「…」
僕は言葉を失った、自分の勘がほぼ的中していたからだ。
「それじゃあね…」
看護婦さんは台を押しながら去って行った。
自分の病室に帰る途中とてつもない恐怖に襲われていた。
「僕もこのままだとあの女の子みたいに…」
さっきの白い布を被せられた遺体を思い出すだけで背筋が寒くなった。
そんなことを考えてるうちにあっという間に病室に着いた
「とりあえず、横になろう。今は休むぐらいしかできない」
僕はただでさえ病人なのに無理をして出歩いたから体が悲鳴を上げていた。
ベッドに横たわると僕はすぐに眠りについてしまった
朝起きるとどうやらベッドの横に食べ物が置いてあった。さっそく僕は食べることにした
「ん…?」
ご飯を食べてる途中、僕はある事に気が付いた…。
向かいのベッドにいた子供がいなくなっていたのだ
「また一人いなくなっちゃったのか…」
思わず涙が流れてきた。
ちょうど食事が終わる頃に放送のようなのがかかってきた。
「皆、元気にしてるかな?」
老人のような声だった、恐らく医者の人だろう
「ここ数日で村の子供達の約3分の1が亡くなってしまった…誠に無念な事じゃ。」
3分の1?!そんなに犠牲者が居たのか。
「なので1分間黙祷をすることにする、黙祷…」
病室に居た皆も一斉に目をつぶった、すすり泣く者も居た。それはそうだろう
もしかしたら親友を失ってるのかもしれないのだから…。
僕は黙祷が済むと松葉杖を取り病院の廊下を散歩することにした
しばらく廊下を歩いていると激しいめまいに襲われた。
「くぅっ…。」
視界が歪み廊下が斜めに見え、病室が遠くに佇んでいるように感じ
そして床に崩れ落ちてしまった。
僕は必死に体勢を立て直そうとして廊下にある手すりに手を掛けた
「あれ…?」
自分の腕を見た、皮膚が捲れて少し肉が見えていた。
「…もしかして神経まで麻痺してきてるかもしれない。」
確かにこれは恐ろしい病気だ。僕にもどんどん病気の症状が進行してきてるのかもしれない
「とりあえず…診察室に行ってみよう…」
病気がどこまで進行してるのか診察を受けたかったので、行ってみることにした
僕は松葉杖を必死に突きながら診察室を目指した。
…そして僕はまた廊下で白い布が被せられた台とすれ違った、それも1台だけでなく何台も…。
診察室の前に着くと何やら中から話声が聞こえてきた、扉を少し開けてみると…。
「どういうことなんだ…この病気には全く治療方法が見つからない…。」
医者同士が二人ほど話していた
「ええ、我々も様々な方法を試しましたが。どれも全く効果がありません。」
僕は二人の医者のやりとりを聞いていて気が遠くなりそうだった。
治療法が見つからない?そんなバカな。じゃあ、僕達はどうなるんだ…。
ここに来ても無駄だと判断し僕は病室に戻ることにした。
自分でも体が頽れていくのがわかるようになっていた、もう僕はもたないのかもしれない。
そんなことを考えていると僕の意識が途切れた。
気付くと病室のベッドで横たわっていた。
外はもう真っ暗で皆も寝ていた、僕もまた寝ようとすると
「ごふっ!…ごあぁぁぁあああ!!!」
突然胸に激しい痛みが現れ吐血をした。僕は必死でナースコールに手を伸ばした
「ビー、ビー」
何とか押すことはできたものの僕の体が持ちそうになかった
他にもこの病室に眠っていた子供が気付いて起きたのだろうか、ベッドの回りに数人集まっていた。
心配そうに僕を見つめていたが彼らにはもうわかっているのかもしれない、僕がもうもたない事が…。
「バイバイ…。」
一人の子供が僕に向かって手を振っていた、目が霞んでいて現実かわからないが
涙を堪えながら必死で笑顔を作っていた。
「ありがとう。」
僕は、「生きていてよかった」と思っていた。
そこで僕は事切れた
〜完〜
どうだったでしょうか?この作品、できればご感想を頂きたいです。 また自分が投稿する機会があれば読んでください