存在理由
ごきげんよう諸君。
私の名はヴァイゼ。想造主の知識の具現者だ。
私の戯言に一時の間付き合って欲しい。
さっそくだが、私が産み出された理由を述べよう。
そのためには、まず前提となる比喩を言わなければならない。
私は[枠の外にいながら、枠の中にいる]。
良いかね?
では、君たちはエッセイと聞くと、どのようなものを思い浮かべるかな?
作家が体験したものを自由な気持ちで書いたもの、と思い浮かべるだろうね。
それが一つめの枠だ。
作家の体験談を文章を媒介に伝えるという手法は、多々あるもの。
しかし、全てのエッセイがそれでは、読者への益にはなっても、娯楽性という点はどうかな?
十人一色より、十人十色のほうが楽しみがある。
つまり、エッセイとしての手法だけでは面白みが無いと、想造主は考えたのさ。
そして、面白みを出すために[キャラクターを介してエッセイしたらどうなるのか?]という実験なのだよ。
その実験体に等しい存在が、私ヴァイゼなのさ。
理解していただけるかな?
それが、二つ目の枠だ。
前提に対する答えを述べよう。
前提は、私は[枠の外にいながら、枠の中にいる]だったね。
上述した文章から読み解けば、私は[手法という枠の外にいるが、エッセイというジャンルの枠の中にいる]ことになるのだよ。
理解していただけるかな?
今日の戯言は、これまでとしようか。
また会えるまで――。
end
お読みくださり、ありがとうございました。