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私が着られなかったロリータ服を、異世界で広めます。  ―転生令嬢のドレス革命―  作者: 烏斗
第4章:新しい装い

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第24話 その可愛さは、動き出す

侯爵家の庭。

やわらかな陽光が、花々の上に静かに降りていた。


その中を、フェリシアがゆっくりと歩いてくる。


腕に抱えているのは——

出来上がったばかりの、小さなドレス。


淡いピンクのスカート。

幾重にも重なるフリル。

胸元の大きなリボン。


そして——

おそろいの、大きなリボンカチューシャ。


「エミリア、リリア」


声をかける。


庭で遊んでいた二人が、ぱっと振り向いた。


「お姉さま?」


「なに、それ!」


次の瞬間、目を輝かせて駆け寄ってくる。


フェリシアは微笑みながら、ドレスを広げた。


ふわり、と布が空気を含む。


「これを、着てみてください」


「えっ、いいの!?」


「着たい!」


迷いはなかった。


エミリアとリリアは、嬉しそうにドレスを受け取る。


小さな手で、大事そうに抱えながら——


「早く着る!」


「うん!」


その場でくるりと向きを変え、侍女に手伝われながら着替え始めた。


フェリシアは少し離れた場所で、その様子を見守る。


クラリスが静かに隣に立った。


「とても楽しそうですね」


「はい」


フェリシアの声も、自然と柔らかくなる。


「似合うといいのですが」


「きっと大丈夫です」


クラリスは確信するように言った。


やがて——


「お姉さま!」


明るい声が響く。


振り向く。


そこに立っていたのは——


小さな二人の令嬢。


淡いピンクのスカートが、ふわりと広がっている。


軽やかに、丸く。


足元まで、やわらかな曲線を描いていた。


裾のフリルが、風に揺れる。


胸元のリボンが、形よく整っている。


そして頭には、大きなリボン。


全てが、ぴたりと揃っていた。


「……あ」


フェリシアは、思わず言葉を失う。


その瞬間——


エミリアが、くるりと回った。


ふわり。


スカートが軽やかに広がる。


少し遅れて、すっと元の形に戻る。


「見て!」


リリアも真似をする。


くるり。


ふわり。


小さな笑い声が弾ける。


「すごい!」


「ふわふわ!」


跳ねるように動くたびに、フリルが揺れる。


リボンが揺れる。


ドレス全体が、生きているように動く。


フェリシアの胸が、じんわりと熱くなる。


(……動くと、こんなに)


想像以上だった。


ただ可愛いだけではない。


動くことで、可愛さが何倍にもなる。


クラリスが小さく息をついた。


「……これは」


言葉を選びながら、続ける。


「とても、愛らしいですね」


フェリシアは、静かに頷いた。


「はい……」


その時、近くで見ていた侍女が思わず声を上げた。


「まあ……!」


思わず口元に手を当てる。


「まるで、お人形のようですわ……!」


その声には、はっきりとした驚きが混じっていた。


エミリアとリリアは、そんなことは気にせず、楽しそうに手を取り合う。


「もう一回!」


「うん!」


くるり。


ふわり。


笑い声が、庭に広がる。


花が揺れ、光がきらめく中で——


その姿だけが、ひときわ目を引いていた。


フェリシアは、そっとスカートの裾を整える。


(これは——)


ゆっくりと、確信が形になる。


「小さな令嬢たちにも……」


小さく呟く。


「きっと、喜んでもらえます」


クラリスが頷いた。


「ええ、間違いなく」


フェリシアは空を見上げる。


やわらかな光。


その下で、ふんわりと揺れるドレス。


(もっと広がる)


そんな予感が、静かに胸に広がる。


可愛い服。


着て楽しい服。


動いて可愛い服。


それは、ただの流行では終わらない。


「お姉さま、見て!」


「こっちも!」


呼ばれて、フェリシアは微笑む。


「はい、見ていますよ」


その光景は——


新しい可愛さの、はじまりだった。


ふんわり広がるスカート。

揺れるフリル。

弾むようなリボン。


そして——

無邪気に笑う、小さな令嬢たち。


王都に、また一つ。


新しい“可愛い”が、生まれた。

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