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私が着られなかったロリータ服を、異世界で広めます。  ―転生令嬢のドレス革命―  作者: 烏斗
第4章:新しい装い

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第23話 その可愛さは、まだ誰も知らない

侯爵家の作業室。

窓から、やわらかな午後の光が差し込んでいた。


テーブルの上には、布とスケッチ。


フェリシアはその前に座り、昨日描いた案を静かに見つめている。


ふんわり広がるスカート。

幾重にも重なるフリル。

胸元の大きなリボン。


そして——

頭の大きなリボンカチューシャ。


「……やっぱり可愛い」


小さく呟く。


クラリスが、くすりと笑った。


「昨日から何度もそうおっしゃっていますね」


フェリシアは少しだけ頬を緩める。


「だって、本当に可愛いと思うんです」


そう言いながら、布へと手を伸ばした。


選んだのは、淡いピンク。


やわらかく、光を含むような優しい色。


「まずは——」


小さく息を整える。


「子供用で作ってみます」


クラリスが頷いた。


「エミリア様とリリア様の分ですね」


「はい」


フェリシアは布を広げる。


その上に、型紙を置いた。


いつものドレスより、ずっと小さな形。


それだけで、どこか愛らしい。


「……小さいですね」


思わず笑みがこぼれる。


クラリスも頷く。


「ええ。まるでお人形の服のようです」


フェリシアは、はさみを手に取った。


しゃきり。


静かな音が、部屋に響く。


布が、少しずつ形を持っていく。


身頃。


スカート。


そして——フリル用の細長い布。


「フリルは……」


一度手を止める。


スケッチを見て、少し考えた。


「三段にしましょう」


ただし——と、心の中で付け加える。


(重くならないように)


子供の動きは軽い。


だから、軽やかさは崩したくない。


「間隔を少し空けて……」


小さく調整を加える。


クラリスが感心したように言った。


「同じ三段でも、印象が違いますね」


「はい」


フェリシアは頷く。


「子供の方が、動きが大きいので」


「揺れ方も大事なんです」


フリルを縫い始める。


細かく、丁寧に。


布が、ひらりと波打つ形へ変わっていく。


その様子を見て、フェリシアの表情がやわらいだ。


「……やっぱり可愛いです」


クラリスも静かに頷く。


「はい、とても」


次に、胸元。


大きなリボンを作る。


形を整え、位置を確認する。


そして——


小さなリボンを一つ。


さらにもう一つ。


三つ目を作りかけて、手を止めた。


「……ここまでですね」


クラリスが問いかける。


「増やさないのですか?」


フェリシアは小さく笑った。


「これ以上だと、主役がぼやけてしまいます」


大きなリボンが主役。


小さなリボンは、それを引き立てるだけ。


「揃っている方が、可愛いですから」


少しずつ、形が整っていく。


小さな身頃。

ふんわりと広がるスカート。

重なり合うフリル。


その姿は、まるで精巧な人形の服のようだった。


クラリスが思わず声を漏らす。


「本当に……可愛らしいですね」


フェリシアも微笑む。


「はい」


そして最後に、布を手に取る。


ドレスと同じ、淡いピンク。


「カチューシャも作ります」


「おそろいですね」


「はい」


リボンを結ぶ。


ふんわりと、大きく。


形を整え、土台に固定する。


完成したそれを見て、フェリシアは満足そうに頷いた。


「これで……」


テーブルの上に並ぶ。


小さなドレス。


そして、大きなリボンカチューシャ。


一つの世界として、きれいにまとまっている。


(きっと——)


自然と、想像が浮かぶ。


それを着た妹たちの姿。


くるりと回る動き。

揺れるスカート。

弾むような笑顔。


フェリシアの胸が、少しだけ高鳴った。


「早く、着てもらいたいですね」


クラリスも優しく頷く。


「きっと、目を輝かせます」


フェリシアは完成したドレスを、そっと見つめた。


淡いピンク。


軽やかなフリル。


整えられたリボン。


そして——

おそろいのカチューシャ。


その可愛さは、まだ誰も知らない。


けれど。


(きっと、すごく可愛い)


その確信だけは、はっきりとあった。


——次の日。


その予感は、すぐに形になることになる。

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