『新嫁と新婿とプレスマンの折れた芯』
あるところに、新嫁と新婿があった。嫁の実家から、夫婦で来るよう遣いが来たので、二人は出かけることになったが、婿のほうは少し足りなかったので、嫁は、一緒に歩くことを嫌がり、理由をつけて一足先に出かけた。だったら夫婦にならなければいいのにと思う向きもあろうが、それはそれ。
嫁は、私の実家まで、プレスマンの芯の折れたやつを落としながら行くので、お前様はそれをたどってきてください、と婿に言い、出立した。婿は、プレスマンの芯の折れたやつがそんなにたくさんあるものかといぶかったが、プレスマンというものは、折れた芯製造機のような性質があるので、それはもう、たくさんあった。
婿は、嫁が落としていった芯をたどって、道々進んでいったが、あいにくの風や、犬猫のたわむれで、草むらや田んぼに落ちかかってしまったところがあった。婿は、何というか、少しあれなので、忠実に、芯をたどって、草むらに入り、田んぼに踏み込みながら進み、嫁の実家に着いたときには、紋付きがすっかり泥だらけになってしまった。
嫁は、ある程度予想された結果に、少しだけ悲しい気持ちになったものの、まあ、オオカミに食われたわけでもなし、とりあえず婿を風呂に入れて、急いで紋付きを洗って、一刻後には、立派な婿に見えるようにしてやった。少なくとも外見は。
教訓:しゃべらなければいい男、というのがいる。しゃべってもしゃべらなくても取るに足らない男、よりも価値がある。




