勉強会
「そう言えば、そろそろ期末テストだね。さてさて陽奈くん、自信のほどは?」
「……そう、ですね……そこそこ、でしょうか」
「またまた〜陽奈くんなら余裕でしょ。なにせ、首席合格のすっごい子なんだから!」
「……ご存知、だったのですか?」
「いや、そもそも挨拶してたじゃん、入学式で」
それから、少し経過して。
話題は変わり、和やかにそんな会話を交わす僕ら。うん、確かにそろそろで。……それにしても、見てくれてたんだ、あの日、僕が挨拶とも呼べない挨拶をしているところを。……うん、大変お恥ずかしいところをお見せしました。
……ただ、謙遜でも嫌味でもなく、実際に自信があるわけじゃなくて。確かに、首席合格という僕自身も未だに信じられないことをしてしまったわけだけども……でも、あれは彼女と同じ高校に入りたい一心で頑張ったといいますか……うん、改めてだけど我ながら何とも不純な動機で――
「――まあ、それはともあれ……うん、これから勉強会といこうか!」
「…………へっ?」
「――さあ、どうぞ陽……あの、どしたの?」
「……あっ、その……僕、まだ禊を済ませていなくて」
「……いや、神社とかじゃないからね? ここ」
それから、数分経て。
たどたどしく紡ぐ僕の返答に、何とも呆れたご様子の知乃先輩。……まあ、そうなるよね。自分でも何を言ってるのか分からないし。
さて、今いるのは……なんと、あの知乃先輩のご自宅の前で。そして、目の前には自然と身の引き締まる神聖なご玄関が……えっと、やっぱりここは――
「……あの、陽奈くん。なんで、そんな端っこから入ろうとするの?」
「……あっ、その……」
すると、何とも怪訝なご様子で尋ねる知乃先輩。……いや、その……ほら、やっぱり神聖なご入り口なわけですし。
その後も、いっそう身の引き締まる思いで神聖なご廊下、ご階段と進み足を止める。そして――
「どうぞ、陽奈くん」
「……こちらが、先輩のご本殿……」
「いや神様じゃないから私。勝手に祀らないで?」
そう、莞爾とした笑顔でご案内くださる知乃先輩。だけど、僕の返答にまたもや呆れたようなご様子で……うん、そうなるよね。やっぱり自分でも何を言ってるのか分からないし。ともあれ、深く一礼しゆっくりと足を踏み入れる僕。そして――
「……その、別にいいんだけど……そうじっくり見られると、ちょっと恥ずかしいかなって」
「あっ、申し訳ありません!」
ややあって、お言葉の通り少し恥ずかしそうに告げる知乃先輩。……しまった、つい……うん、申し訳ないです。
さて、改めてだけどこちらは知乃先輩のお部屋。白を基調とした清潔感に溢れた空間で、左手には参考書や小説、漫画などが所狭しと並んぶ本棚が。そして、正面には可愛いぬいぐるみが並んだベッド。……うん、ほんと可愛い。そして、その隣にはこちらもまた綺麗に整理された柾目の美しい勉強机が。そして、右手にはクロ――
「――さて、陽奈くん。今、お部屋には私達二人っきりなわけだけど……何しよっか?」
「へっ、勉強ですよね?」
「…………うん、そうだね」
すると、ふと楽しそうに微笑み尋ねる知乃先輩。だけど一転、僕の返答に瞬時に微笑が消えて……あれ、なにかマズいこと言ったかな?




