……どうか、いつか――
「――にしても、ほんと珍しいな。お前から誘ってくれるなんて。ほんと嬉しいわ」
「……ごめんね、急に呼び出しちゃって」
「……いや、なんで謝んだよ。今、嬉しいって言ったよな? 俺」
翌日、日曜日の昼下がり。
そう、爽やかに――そして、僕の返答に少し呆れたような微笑で告げる秀麗な少年。……うん、言ってくれてたよね、嬉しいって。でも……うん、それでも申し訳ないなぁと。
さて、今いるのは僕の部屋――僕と違い忙しいであろう彼に、恐縮ながらわざわざ時間を作ってもらいここまで足を運んでいただいたわけで。……いや、僕もそこまで暇じゃないよ? ほら、部活はしてないけどバイトはして……うん、誰に言い訳してるんだろうね? ともあれ、わざわざ来てもらったその理由は――
「……あの、鷹斗くん。さっそく、本題に入るんだけど……付き合ってたわけじゃなかったんだね、海月と」
そう、控え目に尋ねてみる。すると、恐らくは予想していたのだろう、僕の言葉に仄かに微笑む鷹斗くん。そして――
「……付き合ってたわけじゃない、ってわけでもないんだけど……まあ、でも同じだよな。けど、海月も俺もお前を騙したかったわけじゃない……なんて、何の言い訳にもなんねえけどな」
「……鷹斗くん」
「……海月から聞いたのか、自分で辿り着いたのか……まあ、いずれにせよ正解。俺らが付き合ってたのは、お前をその気にさせるためだ。お前に、海月のことを好きになってもらうためだ。……悪かったな、陽奈」
「…………」
そう、微笑み告げる鷹斗くん。だけど、謝る必要なんてない。そもそも、二人がどういう理由で付き合おうとそれは二人の自由だし……それに、これまでの話を纏めると、二人のこの決断は僕が原因なんだし。だから、謝る必要なんてないんだけど――
「……鷹斗くんは、それでよかったの? その、鷹斗くんは海月のことを……」
そう、躊躇いつつ尋ねてみる。どういう理由で付き合おうとそれは二人の自由だし、当然のこと僕が口を挟んでいいことじゃない。それでも……鷹斗くんは、それでよかったのかな? 優しい彼のことだから、海月に幸せになってほしいと思い協力したのだろう。……いや、海月だけじゃなく僕にも幸せになってほしいと思ったのかも。そして、親友である海月と僕が結ばれれば、めでたく二人とも幸せになれると……だけど、それだと鷹斗くん自身の気持ちは――
「……やっぱ、鈍いよなお前。まあ、分かってたし今更だけどな」
「……?」
そう、軽く頭を搔きつつ口にする鷹斗くん。……えっと、どういうことだろう。いや、鈍いっていうのは我ながら否定する資格なんてないけど……それでも、今の流れで鈍感だとすると、鷹斗くんは――
「……まあ、俺達のことは心配すんな。こっちはこっちでちゃんと幸せになるから、お前は気にせず三朝先輩と幸せになれ。でも、友達としてはこれからも仲良くしてくれよな?」
「……うん、もちろん」
そんな疑問の最中、晴天のように爽やかな笑顔で告げる鷹斗くん。未だ困惑はありつつも、そんな彼に僕も微笑み頷く。そして、その後はお菓子をお供にしばし他愛もない話に花を咲かせたりして。
……心配するな、か。うん、鷹斗くんがそういうなら信じよう。それでも、お節介だとは思うけど……いつか僕を必要としてくれる時があれば、その時は全力で二人の助けになる。そして、僕にこんなことを願う資格があるのかも分からないけど……どうか、いつか二人が本当に恋人同士になってほしい。そして……どうか、末永く幸せに――




