本心
「…………陽奈」
そう、目を丸くし口にする端麗な少女。……まあ、そうなるよね。突然、話題にしてた当人が姿を現したんだから。……うん、僕も気まずいし、正直のところ逃げ出したい。
……だけど、そういうわけにもいかない。僕自身のことで、今まさに心配そうにこちらを見つめている大切な恋人にこれ以上の負担をかけるわけにはいかないし、それに――大切な親友である海月に、僕自身の口からきちんと言わなきゃいけないことがあるから。……でも、まずは――
「……ごめん、海月。知乃先輩とお付き合いをしていること、ずっと黙ってて……」
「……まあ、知ってたけどね。陽奈が、わりと以前から――去年の10月くらいから、誰か好きな人がいたってことも。……まあ、誰かまではその時は流石に知らなかったけど」
「……そっか」
たどたどしくそう言うと、淡く微笑み答える親友の少女。……これが、真っ先に言うべきことなのかは分からない。先に言うべきことは、もっと他にあるのかもしれない。……それでも、これはこれできっと伝えなくちゃいけないことで。
でも……そっか、知ってたんだ。それも、あの時点で好きな人がいたことまで。流石は、幼馴染みで親友……いや、それだけが理由じゃないのは流石にもう分かってるけど。
……でも、今の本題はここから。なので、再び口を開き――
「……それで、少しだけ聞いちゃったんだけど……知乃先輩のせいで僕がおかしくなった――確か、そう言ってたよね?」
「……うん。だって、それまでは全然あんなことしてなかったじゃない。三朝先輩にさせられたんでしょ? 例えば、陽奈が女装をするなら付き合う、とか言われて」
そう確認をしてみると、控え目に頷く海月。そして、自身の推測を口に……うん、わりと間違ってない。と言うか、実はあのやり取りを聞いてたんじゃないかと思うくらいに的を得ていて。……だけど、
「……違うんだ、海月」
「……へっ?」
「……いや、もしかすると間違ってはないのかもしれない。実際、そういうやり取りではあったと思うし。だけど……本当は嫌だけど、知乃先輩とお付き合いするために渋々あの条件を受け入れた、っていうわけじゃないんだ」
「……どういう、こと……?」
そう言うと、ポカンと目を丸くする海月。……まあ、そうなるよね。これじゃあ、まるで僕がその条件を――知乃先輩に会うときは女装をするという条件を嫌がっていないようにも聞こえそうだし。……そして、それは実際にその通りで。何故なら、僕は――
「……僕は、ずっと憧れてたんだ……女の子に」




