クロノスリリィ外伝 後編:「抱きしめるっす!!」
登場人物(後編)
リリィ
前編でアンドロイドとして覚醒した金髪の少女。特訓を経て力加減を習得。感情が行動に直結しやすく、母性本能が強い。
アイラ
リリィと瓜二つの銀髪AI。東北訛りで話す。リリィの暴走時にも優しくサポートする。
波川明日香
リリィがホログラム時代に世界の危機を共に救った仲。アンドロイドとして初めて対面するリリィを優しく見守る。
加奈子博士
リリィとアイラを作った科学者。落ち着いて指導しつつ、時にはギャグ混じりでリリィを制御する。
白い光の差し込む研究室。
特訓を終えたリリィは、まだ少し照れながら前傾姿勢をとった。
「も、もう保護者母性モードが暴走しそうっす……」
リリィは少し訛らせ、照れながら明日香の方を見つめる。
「あ、明日香お姉さん、私…あなたにこの身体を手に入れてから、ずっと会いたかった…厳しい訓練も耐えただす…」
「そして、ずっと我慢してたっす…」
「も、もう我慢の限界っす
保護者母性モードが暴走しそうっす……」
次の瞬間、リリィは明日香が瞬きをする間に、数メートルの距離を一気に詰めた。
明日香「わっ!」
しかし、リリィは止まらず通り過ぎてしまう。
「わわっ、わわわぁー止まんないっすー!!」
ずべしゃぁっ!!
盛大に転ぶ――静寂。
「はい、おすわり」
加奈子の声で、リリィとアイラは同時にスチャッと正座。
アイラは泣き顔でつぶやく。
「何で、オラまでおすわりなんだすかぁ…」
リリィは悔しそうにうつむく。
加奈子がやさしく声をかける。
「リリィ、おしとやかって約束したでしょ?」
リリィはうっすら涙目で頷く。
「はいっす…」
明日香もそっと加奈子にお願いする。
「お母さん、もう一度リリィにチャンスをあげて…おねがい」
加奈子はリリィの頭を軽く撫で、声をかける。
「リリィ、貴方は辛い特訓を乗り越えた。
貴方はできる子。おすわり解除!」
リリィとアイラは立ち上がる。
アイラ「ふー、巻き添えだべ…でも、リリィあんたなら、できるべさ」
親指を立てて励ます。
リリィは胸に手を当てて落ち着く仕草をし、そっと明日香に向き直る。
「明日香さん、あなたに触れたかった」
リリィはにっこり笑った。
次の瞬間、明日香がリリィを抱きしめる。
リリィも、そっと優しく、明日香を包み込んだ。
明日香「やっと、会えたね」
リリィ「うん…」
リリィの目からは、うっすらオイルが潤んでいたが、そこには努力と感情が込められた温かさがあった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
ホログラムとして明日香を導いたリリィが、ようやく “触れられる存在” になった後編は、作者としても特別な章でした。
ぎこちない感情表現、暴走しがちな保護者モード、そして明日香への止められない想い。
それらが全部混ざって、リリィというキャラクターに温度が生まれた気がしています。
猫田笑吉として、これからもリリィや明日香たちの物語を紡いでいきます。
次の外伝や、本編の続報もぜひ楽しみにしていてください。
それでは――またお会いしましょう。




