あまこさんとブレスレット(2)
彼女と付き合い始めて3年の旅行だった。
舟に乗り込んで、馬車にも乗って目的地に着き、いろんな場所を回っていた。そこで、きれいな宝石があしらわれたブレスレットをお揃いで買った。日に照らして傾けると、虹色に輝いた。
宿に泊まり、夕食を食べ、ゆっくり休んでいた。
すごく、幸せだった。時間の流れが早く感じた。
名残惜しいけど、帰ることになった。馬車に乗って、揺られていた。
山道を通っていた。安全とは言えないような道で、少し不安に思っていた。
その時、魔物に襲われた。鳥のような大きい魔物で、馬車を丸ごとつかんで持ち上げた。ぶら下がった馬が暴れて、馬車が傾く。そのままなすすべなく、僕らは山道の下へと落ちていった。
こう文章にしてみると、なんで助かったのかわからない。僕は教会のベッドで目覚め、教会の人に話を聞いた。馬車の窓から出ていたみたいで、奇跡的に大きな木の枝に引っかかり地面に衝突しないですんだらしい。馬車はバラバラになって見つかったというが、馬車に乗っていた人や馬は僕と数人以外見つからなかったという。その中に、彼女はいなかった。
「なるほど、彼女さんの形見を探したいということですね。」
僕が一通り話し終えると、少女は慣れたようにそう言った。
「はい。そこで買った、ブレスレットを探してほしいんです」と僕は答えた。
だけど、本当は彼女自身を探したかったのだ。ブレスレットは、簡単には外れないようになっていて、たとえ馬車から落ちたとしても、外れないぐらい頑丈だった。
僕は、自分の腕についたブレスレットをみる。
「これと、お揃いのブレスレットです。お願いできますか?」
少女には、嫌なものを見せてしまうかもしれないけれど、それでも彼女を探したかった。
「わかりました」
少女は、そう答えた。