あまこさんとブレスレット(1)
一話一話の文字数少ないですが、読んでくれると嬉しいです。
皆さんは、物をなくして後悔したことはありませんか?ここは、どんな忘れ物や落とし物も見つけられる場所。森で落とした望遠鏡も、海に落としてしまった指輪でも、空に飛んでいったラブレターでも。どんな物でも、どんな所にあっても。
藁にも縋る思いでやってきたのは、「忘れ物屋さん」と看板がかけられた、ナゾのお店だった。とても古そうな建物で、ノックするだけで壊れてしまいそうだった。慎重に、ドアについた窓をのぞいてみる。そこには、たくさんの地球儀や地図があった。古めかしくも、思わず見とれてしまう光景だった。
「なにか御用でしょうか?」
「へうわっ」
突然声をかけられて、変な声が出てしまう。
「す、すみません」
謝りながら後ろを振り向くと、厚い布で出来たようなワンピースに、ポケットがたくさんついたコートを着た、薄灰色の髪、オレンジっぽい黄色の瞳の少女がこちらを見つめていた。
「お客様ですか?」
「えっええ…そう…です」
少し緊張して、口調が覚束なくなる。
「では、こちらへどうぞ」
少女は、ボロボロのドアを躊躇せずに開けて、中へ僕を招き入れた。
窓から見たときもきれいだと思ったけど、中に入ってみると長年使われていそうなランプが家具たちを照らし、不思議で美しい光景を映し出していた。
「どうぞ」
少女が差し出してきた丸椅子に座ると、少し床が軋んでギギッと音がした。
少女は僕に向かい合うようにテーブルを挟んで椅子に座った。
「それで、何か御用でしょうか」
太陽のような、月のようなそんな瞳で少女は僕のことを見つめて、尋ねた。
僕は、意を決して話を切り出した。
「旅の帰り道で、行方不明になった恋人とおそろいのブレスレットを探しているんです。」
初めての投稿なので、不自然なところなどあるかもしれませんが、良ければ引き続き読んでくれると嬉しいです。すみませんが、更新は気まぐれです。