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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゾンビがいなくても帰り道は危険です

作者: 桜森よなが

 学校からの帰り道は、いつもドキドキします。

 だって、学校から出た瞬間、そこはゾンビが溢れている世界なんですもの。


 いつからでしょうか、この世界はゾンビで溢れていました。


 小学生にして天才ゾンビハンターである私は、ハンドガンを素早くバッグから取り出しました。

 ゾンビだらけのこの世界では、護身用として小学生にも銃が持たされているのです。


 私は昔見たアクション映画の俳優を真似して、銃を構えながら歩きました。

 じりじりとすり寄ってくるゾンビたちをバンバンと撃ちながらゆっくりと前に進みます。


 たまに電柱の裏とかのこちらから死角になっているところから飛び出してくるゾンビもいるので、気を抜かず、前後左右を見ながら注意深く歩いていきます。


「ぎゃあああああ!」


 前方から大きな悲鳴が聞こえてきました。

 急いで駆けつけると、友達の田中君がゾンビに首をかまれそうになっていました。


「田中君! 今助けるからね!」

 

 バンバンッとゾンビに弾丸を食らわせますが、時すでに遅し。


「うあああああっ!」


 田中君は首をかまれてしまいました。

 田中君の顔は見る見る生気がなくなって、やがてゾンビの姿になってしまいました。


「あーあ」


 こうなってはもう助かりません。

 私に近づいてくるゾンビになった田中君と、先ほど田中君の首をかんだゾンビをヘッドショットしました。


 二体のゾンビを倒して、さぁ前へ進もうと思った時、


「カレン、いつまでゲームをしているの!」


 突如、お母さんの声が空から降ってきました。

 そして私は思い出しました。


 ああ、そういえば、ここはとてもリアルなVRゲームの世界でした。

 冷静に考えれば、こんなゾンビだらけの世界が現実世界のわけがありませんよね。


 しかたない、もっと遊んでいたかったけど……。

 私は現実世界への帰り道を歩きました。

 この帰り道を歩くと、ゲームを終了することができるのです。不思議なゲームですよね。


 現実世界に戻り、VRゴーグルを外すと、お母さんが目の前にいて、「一日ゲームは一時間まででしょ」と怒られてしまいました。

 罰として今月のおこづかいは百円減らされてしまうそうです、ひどい親ですよね。



 翌日――


 つまらない現実の学校が終わり、友達と下校していた時のことでした。


 私の前には田中君が歩いています。家が近所なので、私は彼と一緒にいつも帰っています。

 この田中君は昨日、ゲームでゾンビになっていたあの田中君です。彼も私と同じゲームをやっているのです。


「現実の帰り道はつまんねーよな、ゲームみたいにゾンビがいなくてスリルがねェもん」

「田中君、それ、私もう十回以上聞いてるよ」

「え、俺、そんな話してた?」

「うん」


 なんてのほほんと会話しながら歩いていたときでした。


 信号機のない横断歩道を歩いていると、ドンッと前方で鈍い音がしました。

 私の前にいた田中君が、一時停止せずに突っ込んできた車にはねられたのです。


 車はそのまますぎ去ってしまいました。ひき逃げというやつですね。


「田中君?」


 声をかけますが返事をしません、彼は血だらけで手足がもげていました。


 そういえば、ここは交通事故が多いところだったっけ。


 そのとき、ぞわっとした悪寒が背中に走りました。

 複数の視線を感じて辺りを見回すと、顔や体がぐしゃぐしゃの幽霊たちが周囲にいっぱいいました。


 そして私は気づいたのです。

 現実世界の帰り道も、あのゲームの世界と同じかそれ以上に危険で怖いということに。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒頭のゲーム、帰路は後ろや物陰から襲ってくるゾンビはいないってことでしょうか?それとも、帰ると決めたらもう襲って来ない仕様でしょうか? [一言] 淡々とした語りがサイコパスっぼくもあり…
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