始まりの冒険
日が昇り始め空気がまだ冷える港に居るとジュリアがやってきた。
「おはよう! ちゃんと約束通り来てくれたね」
「おはようございます、今日は何を狩ればいいですか?」
「ハハハ! そんな焦ることは無いよ、先ずはこっちへ来な」
ジュリアに案内されるままついて行くとそこには大きな赤レンガの倉庫があった。
中にはまだ生きている獣が複数と氷魔法で冷やされている生肉が並んでいた。
ジュリアは多くの紙が貼ってあるボードに指を指すと。
「ここの紙には今欲しいと思っている食材の依頼が貼ってある」
ジュリアは紙を1枚剥がすと。「最初はこれがいいんじゃないかな」
そこには地龍の尻尾と書いてある。
「尻尾だけをとるんですか?」
「尻尾だけが依頼だね。地龍と言っても寝込みを襲ってすぐに逃げれば問題はないよ」
「尻尾程度なら楽な仕事だな」
「アレクはやる気みたいだね!テオドールはどうするんだい?」
「僕もそれで大丈夫ですよ。」
決まりだねと言いジュリアは馬車の準備に取り掛かった。
しばらく依頼を眺めながら待っていると、長い黒髪を結んだ若い女性がやってきた。
「こんにちは、私ここで事務を担当しているリリアです。よろしく。」
「はじめまして、俺はアレクそして横のはテオドールです。こいつは人見知りなとこあるけど慣れたら喋るんでいっぱい話してやってください」
「別にそんなこと言わなくてもいいだろ」
なんかちょっと笑われてるし。
「えっとさっき社長からお2人に狩りで使う武具を渡してやってくれと頼まれたんで案内しますね」
可愛く微笑むと、横の倉庫に案内された。
そこには大量の武具があり、短剣から斧までありとあらゆる武器や安価や布製の防具から高級なミスリル性の鎧まで幅広く置いてあった。
「社長から地龍との戦闘になってもすぐに逃げられる物を渡すように言われてますので、防具はこの布とチタンでできてる物を渡しますね。武器はー適当に使えそうなの選んでください!」
「なんでもいいんですか? 僕は剣士なんで大型の剣を使いたいんですけど。」
「そうですねー奥にある岩に刺さってる剣以外でしたら大丈夫だと思いますよ」
「テオドールそれって聖剣じゃないのか?」
リリアは喜びながら僕達を奥に連れていくと岩に突き刺さった剣を見せてくれた。
「皆抜こうとするんですけど未だにビクともしないんですよね」
「よいしょ」
「やっぱり聖剣じゃねぇか良かったテオドール」
「え? ええ?」
困惑するリリアを横目に僕は久しぶりに触れる重量感があり力を流し込むと光る大剣に魅了されていた。
「それ抜けるのはこの世で1人勇者様だけって。そして2年前の戦いで魔王と刺し違えて亡くなったって。」
「文献に寄ると勇者は死ぬと力が別の誰かに継承されるらしいから多分それだ!!」
「で、でも」
久しぶりに聖剣を見て考え無しに引っこ抜いてしまったが、復讐されないために勇者一行は死んだことになっていることを忘れてしまった。
しかし、アレクその嘘は少し無理があるんじゃないか?
「うおおおお! 僕に勇者の力が流れ込んでくる!!」
無理があってもやり通すしかない!
「おおお、何かわからないけど勇者就任おめでとうございます!!!!」
もうリリアは混乱しすぎて嘘を本気で信じている。
「とりあえず装備はあるし行ってきます!」
「アレクさんの武器は?」
「俺は魔術師なんで大丈夫です!!」
急いで倉庫を出るとジュリアが馬車と一緒に立っていた。
「やけに急いで出てきたね。ってその剣!?」
「なんか勇者の力を継承したみたいでして。」
「そ、そうかい。まぁ帰ったら祝いでもしようか」
「祝いは王様に認められてからでお願いします!」
ジュリアは納得すると馬車の操作方法と地龍のいると思われる地域を記した地図を貰った。
「片道2日程度か」
「意外と近くに居るもんなんだね」
「2人とも気をつけて行くんだよ、特に勇者テオドール様はね」
「やめてくださいそんな呼び方、恥ずかしいですよ…」
「冗談だよ」と笑いながら言うジュリアを後にして僕達は新しい旅に出た。
2話目です!
2話も読んでいただいてありがとうございます!!
本当に嬉しいです。
次回はテオとアレクの2年ぶりの冒険の話です!
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