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役立たずだと追放されたけど、クラスのマドンナがついてきた。 お願いだから仲間のもとへ帰ってください。

作者: 巫月雪風

相羽祐樹はクラスメイトと一緒に異世界に召喚させられたが、スキルのしょぼさゆえに追放されてしまう。

しかも、追放に怒ったクラスメイトの雨宮七海も一緒について来てしまった。


そんな相羽祐樹には、隠している秘密があった。


本作品は、【アルファポリス】様でも投稿しております。

「お前は追放な」


 相羽祐樹はいきなりクラスメイトから言われた。


 この世界にクラスごと召喚されてから早一年。

 この一年でこの世界の常識や戦闘訓練を行い、ついに召喚理由である魔王討伐の為に王都から出発しようとした途端これである。


 しかも祐樹が見たところ、他のクラスメイトもうなずいたり楽しそうにしている……

 つまり、皆がこれに同意しているようだ。

 同行するこの国の騎士達もうなずいている。


「え…… どうして?」

「わかるだろ! お前のスキルが役立たずだからだよ!」


 人は違う世界に召喚されると、強力なスキルを得ることができるのだが、祐樹のスキルは交渉というものだった。

 そして、その効果は全ての商品やサービスを割安で受けられるというもの。

 つまり、生活には便利だが、戦闘には役に立たない。


「確かにおまえのスキルは商品を割安で買える。確かに役に立つようには見えるが、そもそも俺たちはこの王国から命令を受けた身。各町の商品やサービスを格安で受けられるように既に通達されているんだ。つまり、お前の能力は必要ない」

「……わかった」


 この意見は正しい。

 まして命がけの戦いに、戦えない人間、サポートできない人間は不要である。


 落ち込んでいる祐樹の肩を、後ろからこの国の騎士団長が叩いた。


「安心しろ。当面の暮らしに不自由ないよう、お金を与えるから」

「ありがとうございます。じゃあ、俺は出ていくから、みんな頑張ってね」

 

 そして、俺はお金を受け取り、みんなに会釈すると、町の方へ歩き出した。


「ちょっと待ったー!!!!!」

 その声にみんなが振り向いた。

 声の主はこのクラスの女子、雨宮七海だった。 

 彼女はハーフで、見た目も性格もいいため、クラスのマドンナ的存在である。

 ついさっきまで皆の後ろに隠れて見えなかったのだが、どうやら彼女は祐樹の追放に反対のようだった。


「これって金やるから出て行けってことじゃん。納得いかないよ」

「でもさ、実際戦闘にもバックアップにも役に立たないし……」

「それに王国から支援があるからスキル使わなくても割安で商品やサービスを受けられるし」

「そもそも定期的に王国からお金が贈られるからお金の心配は不要だし」

「それに追放っていっても無一文で放り出すわけじゃないでしょ」


 クラスメイトが七海の意見に反論するが、彼女の怒りは収まらない。

「わかった。じゃあ、私も追放される」

「「「は?????」」」


 これには祐樹含め、その場の全員が驚いた。

「ちょっとまってくれよ。雨宮さんのスキルの剣聖は優秀なんだから、一緒に来てくれないと」

「他人を追放する人達と一緒に行くのは嫌だから。じゃ!」


 そう言うと七海は祐樹の首根っこをつかむと、騎士団長から金をもらい、祐樹と一緒に出ていった。






「あの…… 本当にいいの? 一緒に来て」

「大丈夫。問題ないよ。私がいなくたって魔王討伐できるでしょ」


 現在、祐樹は七海と一緒に、というか半ば無理やり連れていかれる形で、王都を歩いている。


「でもさ、どうして一緒に来てくれたの?」

「それ…… 聞くの?」


 そういうと七海は祐樹の耳元に顔を寄せると、こうつぶやいた。


「あなたのことがずっと好きだったからだよ」






 まいった……

 祐樹は内心で毒づいた。

 追放されるまでは計算通りだった。

 だけど、まさかついてくる人がいるとは思わなかった。

 クラス内カーストは底辺だったから、スキルがしょぼければ必ず一人で追放されると思ったが、困ったことになった。


 祐樹はもともと地球の人間ではない、もちろんこの世界の人間でもない。

 というか相羽祐樹という名前も本名ではない。

 もともと全く違う世界で生まれ育ち、別の世界に召喚された。

 そしてそれを何度も繰り返させられた。

 人は違う世界に召喚されると、強力なスキルを得ることができる。

 つまり、別の世界に呼ばれる度に、強力なスキルを得ることができるのだ。

 こうして祐樹は数多のスキルを手に入れた。


 地球に来る前の世界に召喚された際に得たスキル転移を使ってどこまでいけるか試したところ、地球に転移してしまったのだ。

 そしてそのままモンスターのいない安全な地球に住み着いたのだった。

 必要書類もスキル催眠によって人を操って用意した。


 なのにまた召喚された。

 スキルは自己申告だったので、一番戦闘に役立たないスキルを言った。

 追放されやすくするためだ。

 それで追放された後は一人で地球に帰ろうと思っていた。

 クラスメイトは友人もいなかったし、もし本当に追放するようなら、そんな奴らを助けてやる義務はない。

 いざとなればスキルで魔王を倒すのはたやすいけど、それも面倒くさい。




 なのに一人ついてきた。

 好きと告白された以上、ほっぽっておくわけにもいかない。

 本当のことを言えば、彼女は怒るだろう。

 そして、きっと傷つくだろう。


 様々な世界を回ってきたけど、告白されたのは初めてだったから、祐樹は七海を傷つけたくなかった。


 最善は、七海が仲間のもとへ帰り、それを祐樹が隠れてフォローして魔王を倒させることだが、彼女は自分から離れようとしない。


 いったいどうすればいいのだろうか……

 お願いだから仲間のもとへ帰ってください。

初めて投稿しました。


お時間ありましたら、ご意見ご感想以外にも、誤字脱字やおかしいところを指摘していただけると幸いです。


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― 新着の感想 ―
[一言] (´-ω-`)フム 短編というか…なんかの序章みたいな感じの雰囲気でしたね。この設定はいいと思いますが、短編で1度出してしまった以上。この設定で連載として書くのは厳しいでしょうね。最近のな…
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