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11-3 授業の始まり①

 普段は体育で使用する1-E専用の更衣室で着替えを終えた俺達3人は、第5異能訓練用体育館で既に待機していた。この学校はEクラスだからといって差別される事はない。設備は他の生徒同様に平等に使用出来るし、教師も手を抜くわけでもない。

 言ってしまえば生徒間での見下しや、所持ポイントの差がある状態でのスタートくらいだろう。それに未だ入学して15日、俺達はほぼ劣等感などは感じておらず、他のクラスとの差もいまいち分かっていなかった。

 しかし今日からは数字として、その差は簡単に露呈してしまう。その時には明らかになる実力格差によって、クラス間による問題が生じるかもしれない。

 だとしても俺はバドミントン部では一切そういったものは感じとる事はなかった。それが普通だったのか、特殊だったのかは分からない。

 事は慎重に運ぶべきと考えていた俺は、顔にそれが出てしまっていたのかもしれない。

 そして竜星(りゅうせい)は真剣な面持ちでずっと黙っていた。本人が危機感を持っていた事も加味されたのだろう。勝也(かつや)はあまり気にしていなかったのか、俺との会話を普段通りにし、授業が始まるまで待機していた。

 俺達は事前に知らされていた体育館内の教室で東條(とうじょう)を待つ。体育館のメインホールではなく、普段の教室と同等の大きさで、内装共に全く同じ部屋にいた。

 実技はメインホールを主にして使うのだろうが、説明はこの部屋で行うみたいだ。

 次第にスーツ姿からジャージに着替えた東條が顔を現すと、勝也は自身の机に戻っていく。それと同時に元々張り詰められていた空気がより一層重い空気に変わる。


「よし、全員いるな?これから授業を始める。」

 東條はぐるりと部屋を見渡して、全員の出席を確認する。

 そしてその手には俺がよく知っている黒色の棒を持っていた。それは長さ約60cm程のスタンバトンだった。

 しかし学生が扱うにしては少々物騒な気がして、俺は直ぐに目を細める。そんな俺と東條は目があい、口の端を吊り上げ、笑う。俺はそれを見て少々不快になるが、直ぐにその気持ちを押し込める。

 そしてクラスメイトの大半はそれを一度は見た事がある武器なようで、分かりやすく動揺が見受けられた。

 東條はそんな初心な反応が面白いのか、顔を歪めてわざと見せびらかす様に見せつける。


「さぁ、これが何か分かるか?そう、対人戦闘御用達のスタンバトンだ。これは敵を排除ではなく、捕獲又は鎮静化させる為に軍や警察が常備している装備だ。敵を排除するには2工程必要なので、あまり好んで使う人は少ないが、それ以外では大変取り扱いやすいものだ。

 今回はこれの使用をお前達には熟知して扱える様になってもらいたいと思う。再来週の試験では2人1組のバトルロイヤル式の試験で、主に使用される武器となる。詳しい試験内容については来週の放課後、掲示板にて記載されるから、確認しておくように。」

 俺はそれを聞いて意外に思い、驚いていた。東條の話を聞く限りでは異能の使用については考えておらず、あくまで対人戦闘武器の扱い見るだけの様な話し方だ。ここは異能をメインとして扱う学校のはず。それはクラスメイトも同様な事を思っていたのか、皆首を傾げていた。

 しかし、異能の使用についてはなにも言われてはいなかったので、後々掲載される情報までは待つしかないのだろう。


「お前達、何も分かってないようだな?」

 そこで嘲笑をたっぷりと含んだ表情で罵声の様なものを浴びせる東條。俺はその瞬間に理解する。東條が何を言いたいのかを。


「お前達は自身の異能の可能性をどこまで過大評価しているんだ?異能による絶対的な壁を作り出せるのは一握りの奴らだけだぞ?大抵の奴は自身の異能の限界を熟知し、武器の使用など格闘術を絡めて、工夫する。全ては扱う側の力量によって差は出てくる。

 大きな力に振り回される奴にはなるな。この学校では異能強度の強化も同然行われていくが、主に重要視しているのは、使()()()だ。分かったなら、大人しく自身の異能と見詰め合ってるんだな。」

 その東條の一言で「シーン」と聞こえてきそうな程に静寂が訪れる室内。

 そして俺はとても理に適った考えに納得する。この学校ではやはり実践を想定しての教育なのだろう。


「よし、静かになったな?では話を続ける。再来週の試験では2人1組と言ったが、これはクラス内でペアを組んでもらう。男女ペアなどとは決まっていない。

 しかしこれは試験だ。友達との友好関係などで甘い考えをしている奴は直ぐに落ちていくだろうな。私としてはクラスメイトとの相性、実力を見定めて組む事をオススメする。ペアの申請は私に直接2人で来い。片方だけでは申請は通らない。申請の受付は今から来週の月曜日の放課後5時までとする。それを過ぎた場合には、ランダムで組む事になるから覚えておけ。今日の午前中には私がスタンバトンの扱い方をレクチャーした後、30分だけペア組の為にフリーの時間を設ける。学校側からペア組の為に用意される時間はこれで最後だ。組む事が出来なくても目星くらいはつけておくんだな?」

 そう言って扉に向けて歩きだす東條。


「既にメインホールには全員分のスタンバトンが用意されている。これは学校側が管理するものなので、授業での使用後は返却してもらう。練習の使用の際には許可申請の後、使用が可能だ。さぁ、楽しい授業の始まりだぞ?」

 そう言って出て行く東條について行く俺達。そんな中でクラスメイトの大半の目つきは、既に品定めする目に変わっていた。相手の力量を測ろうとするギラついた目。

 俺はそれを無視するようにして、目を合わせる事はせずに部屋を出た……。

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