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11-1 裏の顔

ここでは小説3巻目に突入したとして書いています。

作者本人が勝手に、そうしているだけなので、

気にせず読んでいただけたら幸いです。


ガラリと話の本筋が変わるわけではないので、

何の心配も必要ありません。

「あーもう最悪……イテテ……。もうちょっと優しく巻きなさいよ!」

「バカ!動くなっつーの……。」

 その端麗な顔つきの男性は、年中女性を魅了してやまないフェイスを苦痛で歪めながら愚痴を溢していた。その人物は仮面男(ピエロマン)と皆から呼ばれている男だった。

 右下唇にはリング状のピアスをつけ、爽やか刈り上げの金髪ツーブロック。普段は仮面などはしておらず、オネエ口調で話す人物とは思えない程のイケメンフェイスを兼ね備えていた。

 ひょろりとした体躯は余計な脂肪を極限まで落とし、戦闘に必要な筋肉のみをつけているので、体格はよいとは言えない。だがその体は、所謂(いわゆる)細マッチョに該当する。今はスーツを脱ぎ、鍛え抜かれた胸筋や、上腕二頭筋、背筋などといった箇所が露わになりながら、治療を受けていた。


「はぁ……もう仕方ないでしょ?こんなに綺麗に骨を折られちゃって、ほらっ、ここもあざが出来て青くなってるでしょ?うわー、腫れすぎ……。寧ろ綺麗に折ってくれた分治りが早いわよ。」

「それでも優しく出来ない〜?……(かえで)ちゃん容赦ないから、あっさり振り抜いて腕を持ってくんだから。まぁ腕の骨1本だけでよかったよ。胴体に1発でももらったら即終了とかやってられな〜い。」

 その仮面男(ピエロマン)を治療にあたっていた女性は眉を顰めながら、目を細めて恐る恐るといった様に質問する。


「楓ちゃんって……コードネームNo.3(ナンバースリー)桃色悪魔(ピンクのあくま)の事よね?あんたそんなバケモンとどんぱちやってたの?」

「そうだよ。私としては楓ちゃんじゃなくて、隼人(はやと)くんと殺り合いたかったけど、そうもいかなくてね〜。あの隼人くんの私を抹殺対象としか見ていない、完全に冷え切った冷酷な目……うふっ、ゾクゾクしちゃう♡」

 仮面男(ピエロマン)は隼人に切られた右腕を見ながらうっとりとした表情を浮かべ、よだれを垂らしていた。普段は女性をそのような表情にさせるのだが、隼人対してだけは逆だった。その女性は仮面男(ピエロマン)を、汚物を見る様な目で見詰め、吐き気を催していた。主に膨張した股間部分を見ながら。


「オエ……。てか、隼人くんって、あんたの右腕をぶっ飛ばしたヤバイ奴の事だよね?」

「そうね、その時の事は今でも鮮明に覚えているわ。でもあれはまだ隼人くんの本気じゃないらしいから驚きよね。」

「……えぇ、私も少しだけ耳にした事があるわ。今回私達の計画と同じ様な事をしてたんでしょ、軍も。それの成功例。」

「うん、そうらしいわね。楓ちゃんはその失敗例。それ以上は調べても分からなかった。」

 その言葉に目を大きく見開き、驚きつつも義手装着を手伝う女性。


「はぁ!?あれで失敗例なの?」

「そうみたいよ……っと、ありがとね治療。」

「はいはい……それでいっつも思うんだけど、あんたなんで戦闘の時は義手外してるの?今回もここにわざわざ外して置いてたみたいだし。」

 仮面男(ピエロマン)はそれを聞いて一度黙る。

 そして黙ったままギプスをつけた左腕の上からスーツを羽織る。そして義手の人差し指を口の前で1往復半させ、「チッチッチ」と芝居がかった舌打ちをする。


「ダメだなぁ……全然分かってないよ麻菜(まな)ちゃん。義手はねぇ、力も受け流せないし、簡単に外れちゃう。人体じゃないから抵抗力もなくて、相手に利用されるだけ。寧ろ無い方が有利なのよ?」

「それはあんたの体術がバケモンだからでしょ?」

 その女性は呆れた様にため息を吐く。仮面男(ピエロマン)はその女性を見ながら満面の笑みを貼り付けていた。その2人きりだった空間に扉をゆっくりと押し開け、その会話に滑り込む様に参加する大柄の男。


「おい、治療が終わったのなら早く来い。みんな待ってる。」

「はいはい分かってますよ〜っと。」

 そう言って椅子から立ち上がり、大柄の男が入ってきた扉に向かい、そこから更に地下へ向かう。ここは暗部の基地で、建物の9割は地下に埋まっていた。その階段を下る途中に仮面男(ピエロマン)は口を開く。


「私がやってる間、実験は成功しなかったって聞いたけど……その事についてかしら?」

「あぁ、被験者の315名は全て失敗し、死んだ。これでは計画に綻びが出る。それに軍の動きも警戒しなければいけないからな。」

「そうよねー……。軍の連中でも実験の成功例は数少ないのに、そう簡単にはいかないわよね〜。」

「でも、1人だけうまくいきそうだったんでしょ?」

 そこで女性が口を挟む。誰も足を止める事なく、その質問に答える事をせずに下り続けた。女性は無視をされた事による苛立ちを隠そうともせずに「チッ」と、舌打ちをする。そして大柄の男は目的の階に到着し、扉の前で足を止める。


「先程言った事も今から話される。その時に聞くんだな……。」

 そう言って暗部組織の上層部3人は、お互いを警戒しつつ、そのプレッシャーをまき散らしながら黙って部屋に入っていった……。

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