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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第9章 大きな陰謀が見え隠れする時
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9-6 因縁の対決②

 俺はガラス製の扉を形状変化させ、1本のロングソードらしきものを形成する。刃渡り約90cm。幅は4cm程のものを作った後は、先程と同様のガラスナイフを10本作り、空中に待機させる。残りのガラスは予備としてそのままにしておく。

 わざわざガラスナイフに形成したのはある目的をカモフラージュするためだった。

 そして俺はこの作業をしている途中、一度だけ頭に「ズキリ」と痛みが走った事によって、苦悶の表情を浮かべる。1秒にも満たないあっという間の形状変化を、11回分同時に異能を酷使したので、それは当然の反動だった。

 (かえで)に小声で心配されつつ、俺は左手を2度程握り拳を作って手を開くという動作をして、手の痺れが取れた事を確認する。お互い膠着状態になりつつあったが、黒服の戦闘スタイルが若干判明したので、今度は俺達から攻める事にする。

 まずは遠距離攻撃を可能とする仮面男(ピエロマン)から無力化したいのだが、黒服の2m程後方に立っているので、そうもいかない。通路幅は約5mなので、大回りする事も出来なかった。寧ろ直線状で戦うのは不利だったが、相手がそのアドバンテージをミスミス手放す事はしない。相手の目的が本当に俺を殺す事なら、常に相手から攻めてきてもおかしくないのだが、それが見受けられない。本当の目的が分からない今、決着をなるべく早く着けたいと思っていた。

 俺はガラスソードを手に取り、軽く握りしめる。

 そして空中のガラスナイフを相手に向けて放ち、それと同時に低い姿勢で駆け出す。相手との距離は10m程。それは一瞬で詰めれる距離なので、相手との差が一気に縮まる。その間に仮面男(ピエロマン)が放つ衝撃波によって空中のガラスナイフが4本粉々に破壊される。それを敢えてゆっくりと再生しながら、俺は黒服に向かって剣撃を放つ。俺の間合いは約2m。黒服は約1m20cmだろうか。その差を活かして俺が先に攻撃を届かせる。黒服は俺見て右から放った袈裟斬りを一気に間合いを詰める事で回避しようとしてくる。常人ならそれは不可能だが、黒服はそれを可能にした。屈む様にして一気に俺の懐に入ってくる黒服。俺のガラスソードに触れそうになるところで俺の右横にずれて、剣撃の軌道から外れる。それを目視する前に俺は剣撃が間に合わない事を予測しており、既にガラスソードを空中に手放していた。

 そして、流れる様に放つ右肘での肘打ち。それに遅れるように左手も黒服に向けて伸ばす。俺の肘打ちは黒服が間一髪といった風に左手で受け止められる。タイミング的にはギリギリだったが、押し負ける事なくあっさりと受け止められる。黒服は俺の脇腹に向けてナイフを切りつけようとしてくるが、俺の空中のガラスナイフが間に合い、一旦距離を離そうとする。なので俺の左手も引き戻して、ガラスソードを引き戻して掴み直す。

 その俺達の攻防の間に楓は一瞬にして仮面男(ピエロマン)との間合いを詰めてナイフをしまったのか、素手で近接戦をしていた。俺が空中で操作させたガラスナイフを撃ち落としていた事による、異能のクールダウンのうちに詰めたのだろう。奴が何発まで連射出来るのかは不明だが、楓にかかれば1、2発くらい避けつつ距離を詰めるのは造作もない事だった。

 しかし流石に動き辛いのか、普段よりも動きがぎこちない楓。それも加味されていたが、仮面男(ピエロマン)は楓と互角に近接戦を繰り広げていた。

 身体強化(サイコブースト)を使った楓の打撃を一度でも食らえば、言わずもがな即致命傷だ。それを全て避けるか受け流していた。隻腕でそれを行っているのだから、その技術には目を見張るものがあった。

 しかし楓はまだまだ余裕のある表情をしていた。仮面男(ピエロマン)は攻撃を受ける事はなかったが、攻撃をする事もなかった。いや、出来なかった。異能での搦手を混ぜない限り、近接戦は楓が圧倒的に有利だからだ。パフォーマンスが落ちているとはいえ、そこで負けてしまうような事は楓は絶対にない。

 俺は黒服に意識を戻して、こいつの対処方法を思索する。

 まず俺から攻撃に転じ続けなければ防戦一方になり、おそらくジリ貧になり負ける。相手にペースを掴ませる前に俺は異能をフルに活用して、搦手での攻撃が必須だった。

 そうと決まれば、俺は相手に仮面男(ピエロマン)のカバーや攻撃される前に、左手のガラスソードでの突きを放つ。それに対して俺の右側に回避しようとする黒服。それを俺はガラスソードを操作して無理矢理軌道を変える事で追撃する。それはもはや突きではなくなっていたが、黒服からすれば、回避した攻撃が息を吹き返して追従するのは、とても対処がしずらいだろう。

 この剣は従来の刃物の様に切れ味があるわけではない。なのでそんなガラスソードをぶつけられても少し痛いくらいだ。

 しかし俺の目的は斬りつけようとしているわけではなく、黒服に()()させようとしていた。それを嫌う様にそのまま凄い勢いで俺の右側に回ろうとする黒服。やはりスピード勝負では勝つ事は出来ない。俺はそのまま回転切りの要領で一回転し、左足を軸にして回し蹴りを放つ。それを全て2度屈む事であっさりと回避する黒服。

 しかし俺は回し蹴りを途中でピタリと止め、右足での蹴りを放つ。それと同時に空中のガラスナイフを2本左右から放つ。俺の蹴りは難なく顔をずらされ回避し、左のガラスナイフは黒服のナイフで刃部分を折られながら弾き出され、右のナイフは手袋を着用している左手の甲に側面を強打される事によって粉砕されるはずだった。

 俺はその直前に一瞬で形状変化させて黒服の左手をコーティングする様に纏わり付く。黒服は「何!?」と、思わず声を漏らしていた。俺はそのままガラスを制御し、腕に突き刺すようにして形状を変化させる。

 そう、俺の目的はゼロ距離からの体内侵入が目的だった。血管の中をズタズタにしながら内部からの心臓破壊。これが一番手っ取り早く、殺傷性が高い。

 しかしこれは、人体干渉力での異能使用になるので、体内に侵入すると、相手の抵抗力を上回る事が出来ないと制御権を手放してしまう。

 だが、これには抜け道が存在する。体内に完全に独立したガラスを制御するには人体干渉力が求められるが、体外と繋がってさえすれば物体干渉力での使用が可能だ。俺はそれを利用して、ガラスの体内侵入量を増やすために一気に他のガラスナイフも黒服の左手に向けて射出する。

 しかし黒服はたまらずといった様に、自身の背後にある壁に向けて左手を思いっきり打ち付ける。「ドゴォォォォン」と生身の人間が壁を殴ったとは思えないほどの轟音を出しながら俺から距離を取ろうとする。その衝撃で既に腕に食い込んでいた左手のガラスは粉砕されたが、まだ俺のターンだ。間髪入れず俺は攻撃を繰り出す。ガラスソードを右手に持ち替え、俺は右から斜めに切り上げを放つ。それは無理に壁に手を打ちつけ、体勢を崩した黒服には簡単に回避出来るものではなかった。剣撃が黒服に届きそうになる。

 しかし、それを妨害するように俺に向けて放たれる衝撃波。俺はそれを直前で察知するが、避ける事は叶わず左脇腹に直撃を許してしまう。俺はくの字型になりながら一気に吹き飛び、通路の壁に叩きつけられる。それと同時に一気に肺の中の空気を吐き出す。「カハッ」と思わず声を出して、膝を突く。その際に吐血したが、少量だったのでそこまで気にせず状況を確認する。

 どうやら仮面男(ピエロマン)が黒服のカバーを無理に入れたようだ。確かにあの状況では黒服の致命傷は免れなかった。再びガラスの接近を許してしまうと胴体に纏わり付かれて、ガラスソードの量では十分に心臓まで到達出来た上に除去が困難だ。それを理解した上での無理に通したカバー。仮面男(ピエロマン)の状況判断能力と視界の取り方には称賛の声が上がるだろう。

 しかし無理にカバーしたことによって楓の一撃をもろにもらったのか、左手を力なくだらりとぶら下げていた。恐らく骨が折れてしまったのだろう。仮面越しにも苦悶の表情をしているのがなんとなく分かる。

 しかし俺も同様に、内臓の損傷と肋骨が数本折れている。痛み分け……いや、まだ俺達が少し有利といったところだろう。

 そして楓はそんな負傷した仮面男(ピエロマン)に追撃を放とうししていたが、そこで黒服のカバーが間に合う。俺はその状況を確認しつつ、既に走り出していた。1人が負傷しているとはいえ、2対1の状況はまずい。それを分かっているのか楓は、一旦距離を取ろうとする。一度しまっていたと思われるナイフを取り出して、相手の攻撃をいなした上で、壁を力強く蹴る。黒服を軽々と飛び越すように空中に放り出された楓は無防備になる。それを狙撃する様に予備動作なしで仮面男(ピエロマン)によって衝撃波が飛ばされる。

 しかしそれを楓は空中で体を捻り、ナイフを使いながら受け流す様に回転する。それでも多少の衝撃は食らうので体勢を少し崩してしまうが、両足でしっかりと着地をして、衝撃を膝をバネの様に扱い、緩和する。その身のこなしは流石といったところだった。

 ナイフは衝撃波を相殺した際に壊れてしまい、変形して使い物にならなくなっていた。元々壊れやすいナイフなので、仕方ない事だろう。ちなみに俺が黒服の戦闘に使用していたガラスは全て回収済みだ。細かすぎる破片は回収出来なかったが、然程問題はなかった。

 俺達は戦闘中に必要なとき以外、会話が発生する事はない。無駄な事にエネルギーを使わない様にするからだ。仮面男(ピエロマン)は楓に話し掛けていたかもしれないが、俺に聞こえる事はなかった。

 そして俺達はお互いの状況を確認し合うため視線を切る事なく、必要な会話を始める。


「楓、大丈夫か?」

「うん、被弾ゼロ。さっきのを抜いたらね。でもダメージはないから全然大丈夫。隼人(はやと)は?」

「内臓の損傷と肋骨が数本折れたくらいだ。異能の使用限界もまだまだ先だから戦えるが、今の状況だと黒服の相手は辛いかもな。」

「分かった。なら交代ね。あと、さっきのカバーを許しちゃってごめん。腕しか持ってけなかった。」

「戦闘中に謝るな。」

「分かった。」

 そう会話を終えて、俺達は再び接近を試みる為に足を踏み出そうとしていた……。

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