表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第9章 大きな陰謀が見え隠れする時
66/216

9-4 望んでいない再会

 俺達は本屋から出て、俺の部屋の家具を探す為に次の店に向けて歩き出していた。俺は元々本棚を購入するつもりでいたのだが、(かえで)に部屋がつまらないと言われた事や、南部(なんぶ)さんや竜星(りゅうせい)の部屋を見て、俺も少しはインテリアに気を使おうと思い、少し目を通しておく事にしていたのだ。

 そして竜星との会話をしながら歩いていた俺だったが、ふと隻腕のスーツ姿の人物と人越しにすれ違う。その人物の顔を確認する事は出来なかったが、手に何かを持っていたのはかろうじて分かった。

 すると俺は恐ろしい何かを浴びせられた様に背筋に冷や汗が流れたのを感じた。俺は直ぐ様足を止めて振り返る。その人物は既に人混みに紛れこんでおり、直ぐに見つけ出す事は出来なかった。

 唐突に立ち止まり、振り向いている俺を見て竜星は首を傾げながら話し掛けてくる。


「どうしたの隼人(はやと)君。何かあったの?」

「…いや、俺の気のせいかもしれないけど…放置していたらまずい人物がいた気がした。」

「まずい人物?」

 俺は声が裏返っていたかもしれない。それに早口で上手く伝えれなかったかもしれないが、そんな事を気にする余裕はなかった。

 そして一度竜星を尻目でチラリと見るが、俺が何を言っているのかは聞き取れたようだが、理解までは出来ていないようだった。

 俺は目を凝らして人混みを睨みつける。立ち止まって睨みつける俺はすれ違う人達から様々な視線を向けられていた。

 目があった事によって頬を赤らめる女の子達や、壮年の男性には不快そうに逆に睨みつけられたりもする。無関心のまま通り過ぎる人、家族連れには不思議そうに見つめられ、子供には「変な人がいる」と言われながら指を指されたりした。

 俺は全て見聞きしていたが、俺の心には波一つ立つ事はなかった。

 そこで俺は遠くである人物達を見つけて歩き始める。

 黙って歩き出し、先程よりも早いペースだったので竜星は少し遅れる形となる。

 すると背後から竜星の驚きを隠そうとしない声が聞こえてくる。


「ちょ、ちょっと隼人君!?どうしたの急に歩き出してさ。」

 俺はその言葉に反応する事なく、真剣な表情のまま黙々と歩き続ける。次第に駆け足で俺の横に追いついた竜星は、俺の表情を見て何かを察したのか押し黙る。結局俺達は目的の人物に会うまでの短い間、会話が発生する事はなかった。

 距離は然程離れてはいなかった事もあり、目的の人物がいる場所に直ぐに辿り着いた。俺達はカフェのオープン席にいた目的の人物達に接触する。

 そしてその人物達というのは神無月(かんなづき)さんと楓だった。楓は俺達に背を向ける形だったので、気づく事はなく、先に神無月さんが顔を上げて俺達に気づいた。少々意外な組み合わせだったが、俺は用件を直ぐに伝えたかったので、楓に話し掛ける。


「楓。」

 俺の言葉でようやく気づいたのか少し体をビクッと跳ねさせながら恐る恐る振り返る楓。楓は俺達とここで会う事は予想もしていなかったのか、口をポカンと軽く開けて、何も言わなかった。

 そして俺の後ろの竜星が軽く会釈したのか、楓と神無月さんがほぼ同時に会釈する。それで我に帰ったのか、やっと正常な反応を返してくる楓。


「え、隼人に藤堂(とうどう)君。え?どうしたの?」

 楓は困惑しており、目を白黒させていたが俺は気にする事なく楓に顔を近づけ、耳元で小さく用件を呟く。


仮面男(ピエロマン)らしき人物を先程見かけた。」

 俺はそう短く簡単に伝える。これで伝わると踏んでそう伝えた。

 そしてそれを聞いて取り乱してしまう程、楓は軍を伊達に9年もやっていない。逆に冷静さを取り戻し、顔を引き締めて真剣な顔つきになる楓。それを見た神無月さんにも緊張が伝わったのか、眉を顰める。

 そうなると当然俺達4人の中で緊張が走る。

 そこで唐突に来店し、よく分からない事をしている俺達を見て、女性店員さんが話し掛けようとおどおどしているのが視界に入る。楓と神無月さんもそれに気付いたのか席を立つ。

 どうやらこのカフェは先払いシステムだったようで、女性店員さんに「直ぐに出ていきます。」と楓が軽く伝えて俺達は店を後にする。

 俺達は他の人達の邪魔にならない様に、休憩スペース付近の3人用ベンチの前に移動していた。神無月さんと楓がベンチに腰掛け、俺達がその正面に立って話を再開する。


「隼人、さっき言った事は本当なの?」

「あぁ…でも確証もないし見間違えの可能性もある。でも、隻腕のスーツ姿を見間違える様なアホではないと俺は思っている。それにそんな目立つ姿でわざわざ姿を見せてやって来たって事は何かある。」

 そこで俺の言葉を聞いて竜星が口を開く。俺にはそれが少し意外だった。ずっと聞きに徹するのかと…いや、話についてこれないと勝手に思っていたからだ。


「隼人君。隻腕のスーツ姿って、以前会った人だよね?それに隼人君がピエロマン?って呼んでた人の事だよね?」

「……あぁそうだ。」

 どうやら竜星は以前の事を覚えていたみたいだ。まだ事件から1週間も経っていない上に新しい記憶なので当然ではあった。そこで竜星の発言に違和感を感じたのか、神無月さんが竜星をじっと見詰めながら話し掛ける。


新海(しんかい)君が裏の方面に詳しいのは分かるけど…なぜ、藤堂君まで知っているのかしら?それに面識もあるみたいだし……。」

 竜星は神無月さんにそう言われてギョッとする。

 そして罰が悪そうに顔を俯かせる。神無月さんも竜星の反応を見て、追い込む様な真似はしない。そこで楓は話の流れを少しだけ変える。


「隼人。藤堂君と神無月さんにこのまま聞かせても大丈夫なの?」

 少し心配そうに俺を見詰めてくる楓。そもそも楓を見つけた時、服装が白のスウェットに紺のデニムパンツ。おまけにトートバッグを持っている楓を、相手が仮面男(ピエロマン)単体なら、戦力としては見てはいなかった。

 竜星もそう。神無月さんも戦力としては見ていない。

 そして巻き込むつもりもさらさらなかった。楓にサポートしてもらいながら堅実に立ち回ろうと思い、神無月さんと竜星には逃げてもらいたかった。

 しかし2人の気持ちをある程度は知っており、真剣な眼差しを向けられると俺は2人に逃げろとは言えなくなっていた。そんな甘い考えをしてしまっていた俺だった。


「話を聞くだけなら別に問題はない。ただ…。」

 俺は3人の視線を集めながら黙る。その先の言葉、「2人には逃げて欲しい。」と言えずに俺は決断を鈍らせていると、そんな俺達に声を掛けてくる人物がいた。


「あっれれー?」

 俺と楓は俺達の休憩ペース付近横の奥の通路から聞こえてきたその声を聞いただけで、即座に意識を切り替えて飛び跳ねる様に体勢を変え、臨戦態勢に入る。

 そして楓は鞄を椅子に置いたまま相手に構えながら向いていた。


「隼人君遅いから〜、迎えに来てあげたんだけどぉ…なんかよく分かんないのが増えてるね?」

 そんな奴の言葉。竜星と神無月さんは俺達にワンテンポ遅れて反応していた。俺が見たのは2人の人物が仁王立ちしている姿だった。

 1人は仮面男(ピエロマン)

 そしてもう1人は初めて見る奴だった。ひょっとこの仮面をつけ、銀色寄りの白髪?で、全身黒色の服を着ている男性女性とも判別出来ない不思議な見た目。

 しかし殺意はひしひしと感じる。一言で言うなら気味が悪い人物だった。俺は楓にアイコンタクトを送り確認をとるが、楓も首を振る事で知らない人物という事を俺に伝えてきた。

 どうやらまずい状況になったみたいだ。俺は意識を切り替えた事により、決断を鈍らせていた事に早急に答えを出せるようになっていた。


「2人とも逃げろ!!」

 俺は意識を相手から切らす事なく大声でいい放つ。そんな俺の切羽詰まった大声によって当然の様に周囲の視線を集める。相手は通路の奥にいたので俺達しか見えておらず周囲の人達は俺達を見てヒソヒソと話し込んでいた。

 そして俺のそんな言葉を聞いて竜星と神無月さんはそれを否定しようとする。


「でも隼人君。置いてく……」

「新海君、私も……」

 そんな2人同時に訴えかける様に話始めた事を、俺は自身の大声で一蹴する。


「つべこべ言うな!死にたくねぇなら、さっさと神無月さん連れて逃げろ!」

 そんな俺のすごい剣幕で怒鳴るように放った言葉に、黙り込む竜星と神無月さん。俺は今、自身の表情がどうなっているのか分からなかった。焦っていたのか、怒っていたのか。

 そして周りもただ事ではないことを感じとったのか、ざわつき始める。

 そこで俺はもう一度腹から声を出す様に大声を上げる。


「竜星ッッ!!」

 俺がそういい放った約3秒後。「分かった」と竜星が呟いたのが聞こえてきた。


「神無月さん行こう。僕達がいても足手纏いになるだけだ。さぁ、早く!」

「ちょ、ちょっと藤堂君!私はまだ……」

「いいから!」

 そう竜星が走って神無月さんを引っ張っていくのを俺は尻目に確認する。それに合わせて野次馬も慌てて逃げ惑い始めた。仮面男(ピエロマン)はやっと殺し合いが出来るといった様に嬉しそうに話し掛けてくる。律儀に待ってくれたのは彼が戦闘そのものを楽しむ性格だからだろう。

 そしてその間も両者の間にあるのは純粋な殺気と警戒心。お互いの挙動を監視する様に見つめ合いながら、俺は仮面男(ピエロマン)の話に耳を傾けた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ