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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第9章 大きな陰謀が見え隠れする時
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9-3 時代の変化

「え?今日はラノベを買いに行きたかったの?」

 そんな驚きを隠そうともしない声を上げる竜星(りゅうせい)を横目に、俺は肯定を示すために小さく頷く。丁度大型ショッピングモールの入り口に踏み入れたところだった俺達は、今日のお買い物の目的を話していたのだった。

 この大型ショッピングモールは学校周辺では最大級の大きさと店舗数を誇っており、その中に店舗を構える本屋もここ周辺では1番品揃えが良いらしいという事を既に俺はリサーチ済みだったので、ここに決めたという訳だった。

 今の世の中は2020年代から、世界を一新させる事件の影響でそれほど進歩は遂げていなかった。勿論発展を遂げた分野も存在するが、年数に見合った成果は出ていない上にごく僅かなものだった。

 主にライフライン設備を山間部まで100%に仕上げたり、それに準じて老朽化対策も行われてきた。インフラ整備においては全国の道路の舗装の修繕、上下水道の見直しなど、約10年程前に全て完了した。

 異能という未知なるものを解明する為に、研究機関の増設、シュミレーション及びスーパーコンピューターなどの性能アップ、精密部品の大量生産、教育部門にも力を入れてきた。現代兵器やBC兵器の開発も進みはしたが、異能という新たな武器の登場により、結果はあまり芳しくない。寧ろ生産工場が点々と残り、無法地帯と化した悪い面も存在し、海外ではそれを利用して秘密裏に違法兵器が大量生産されている。それは日本に蔓延る暗部達の御用達武器にもなっていたりする。

 そして日常的に扱う工業製品は性能や使いやすさを向上させるのではなく、大量生産を主に扱う様にもなる。これは異形なるモノ達の被害があるからだ。どれだけ優れた物を作っても簡単に予測不能な未知の攻撃を受けてしまえば意味がない。それならば被害は出てしまうのを前提としたものが求められる様になる。

 人々は軍の発足もあり、ひと時の仮初の平和を手にし、昔とはあまり大差ない生活を送っている。移動手段も殆ど変わる事はなく、全国各地にリニアモーターカーが伸びたくらいだろう。良くも悪くも表面上は劇的な変化を遂げていない世の中だ。

 しかし世界的にも分かりやすく変化したのはエネルギー事情だろう。石油や天然ガスの枯渇を前にして石油製品などは値段が高騰。そんな発電方法などが危ぶまれていた中での唐突に舞い降りた未知物質(ダークマター)。この物質は、依然どの様なものだとは詳しく解明されてはいないが、無機物である事と、燃料になる事は直ぐに判明した。

 しかし、燃焼した際に二酸化炭素が減少し、炭素が排出され、未知物質ダークマターと反応していると思われる物質がある以外何一つ解明されていなかった。

 そしてその生成される物質も不明。

 しかし各国は、この燃料にすがるしか道はなかった。

 勿論こんな得体の知れない危険物を取り扱わずに再生可能エネルギーのみでやりくりする国も存在する。

 誰の目から見ても地球温暖化の高速的な進行は止まり、寧ろ最近は回復傾向にある。各国は未だに爆弾を抱えつつもこの今のところはなんの問題もない資源を取り扱っていた。

 更に燃料事情では車が大きく影響された。ガソリン車は全て廃止され、電気車に全て転換された。電気は簡単に発電出来る様になり、ガソリンなどが高騰化すればそれは至極当然の流れだろう。

 そしてゴミ問題や都市鉱山の不安視も最近はなくなりつつある。新規に編み出されたリサイクルによってゴミの排出は極端に減り、焼却炉行きのゴミも減っていた。

 しかし埋め立て地がどんどんと埋まっていっているのは相変わらずだった。

 そしてこの大型ショッピングモールだけではないが、殆どの店が大型化され、店舗が集約された。それは異形なるモノ達の襲撃の際にシェルターとして利用出来るからである。

 それでも専門店など個人営業の店舗は減る事はなく、細々と行われている。政府自らが店舗の集約大型化を進めたので援助金がある程度出ており、今の世の中は飲食店など日常品を取り扱う店などの需要が高く、それに見合った店は閉店する事は見受けられなかった。

 そしてインターネット通販で全ての商品が自宅から取り寄せ出来る時代だが、実物を見て買おうとする客はそれほど減るわけではなかった。俺もその内の1人でもある。

 そして俺達が目指す本屋も、電子書籍というデータと化して持ち運びが楽になり、コンピュータの性能が上がった事により、水没やデータ破損がなくなったとても扱いやすいものがある中、紙の媒体は全ての分野(機密文書を除く)で淘汰(とうた)される事はなかった。それは紙の媒体が人にもたらす利益が証明されているからだ。

 しかしそれでも昔に比べると紙媒体は売れ筋があまり良くないらしい。

 そして俺も電子書籍派の1人だ。哲学書などは全て電子書籍で読む俺だったが、竜星があまりにも紙の良さを以前熱弁していたので、今回はお試しみたいなものもあった。

 しかし俺は竜星の本棚に魅せられてからは既にデータにはない紙の良さにうすうす気づいていた。

 俺達は本屋の前に辿り着き、中に足を踏み入れていく。中はお客さんがいないわけではないが、あまりにも広いので客足がイマイチの様に見受けられた。俺は竜星に「こっちだよ」と先導されるがままついて行く。どうやら竜星はこの店に訪れた事があったようだ。

 程なくして店の奥側のコーナーに辿り付くと、ずらりと並ぶ本が目に入る。石油製品の高騰により、全て透明なカバーは付いておらず、勝手に中を開いて見れる状態になっていた。

 しかしマナー的にも俺は中身を見る事なく竜星の話に耳を傾ける。


隼人(はやと)君、どんなジャンルにするか決めてるの?最近はオタクの中で昔の流行が再び流行ってて、昔の異世界シリーズもちゃんと並んでるんだよね。最近の新刊でもいいけど…どうする?」

 そんな言葉を竜星に掛けられるが、俺は買うラノベをある程度目星はつけていた。

 しかしここまで品揃えが良いと全て見て回りたくなる。時間もまだまだあったのでちょっとだけ見回って見る事にする。


「うーん、ちょっと見回ってみる事にするよ。ここまで多いと悩んでしまうけど…。竜星もあんなに本持ってるけど、ここまで程ではないな。」

「まぁ、流石に本屋さんには敵わないよ。今の僕の部屋にある数の4倍くらいは実家に置いてきたけど、まだまだ色んな本を読みたいよ。」

 竜星は笑いながらさらりとそう言ったが、俺にとっては衝撃的だった。あの部屋の4倍程をまだ持っていた事に俺は驚きを隠せない。

 俺が目を大きく見開き、パチパチと何度も瞬きを繰り返す中で、竜星は「自分も何か買っていこう」と呟き、本棚を見ていた事で、俺の顔を見てくることはなかった。俺は内心まだ買うのかと呆れつつも、俺好みの本を探す事にする。

 俺はそこである一冊を手にする。

 第1巻の発売日を見ると2021年と書いてあった。内容は異能バトル物。昔は異能が当たり前ではなかったので、こういったものに憧れた少年少女がいたのだろう。俺があらすじに目を通していると竜星が話し掛けてくる。


「隼人君それ大分昔のラノベだよ?アニメ化とコミカライズもされて大ブームを巻き起こしたみたいだけど、最近だと異能ものはめっきり売れなくなったからね…。逆に魔法や異世界ものが再燃してるんだけど…。」

「そうなのか?やっぱり今の時代だと異能を使えるのは基本的には当たり前だからな。」

 俺はしげしげと手にした本を見つめる。


「僕は好きなんだけどね異能シリーズ。今でもたまに読んだりしてるけど、そのラノベはまだ読んだ事ないや。完結してるし、今から手を出すより連載してるラノベ買った方がいいんじゃない?」

 俺は竜星の意見を聞いたがなんとなくこれを読んでみたくなる。

 そして俺は即決で買う事を決めた。


「竜星、1冊目はこれにする。もう一冊は竜星のおすすめを買ってみるよ。」

「うん、隼人君がいいなら。その作品も十分面白いはずだから、期待外れにはならないしいいんじゃないかな?」

「そうだな…。あ、竜星のオススメ紹介しながら見たいから教えてくれよ。」

「うん、お安い御用だよ!」

 竜星は胸をドンと叩き、逞しく返事をしてくれた。俺はそんな姿に思わず笑みが溢れる。竜星は少し恥ずかしそうにしながらもラノベについていろいろ教えてくれた。その間に竜星の部屋の事を聞いたりしながらもラノベを選んでいった。結局1時間程かけて俺は合計3冊の本を購入していた。

 そして竜星は俺を尻目に堂々と5冊購入していた。俺はもはや驚くことはなく、それを見届けていた……。

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