表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第7章 異能強化に励みましょう!
54/216

7-8 近接戦闘は難しい?②

「ふぅ、一旦休憩かな。うーん、10分後くらいにまた再開しようか。」

「…はぁはぁ、そうね…そうしましょう。」

 そう言って息を荒げた状態で返事をする神無月(かんなづき)さん。流石にここまで激しく戦闘練習を繰り返すと俺でさえも疲れる。俺は少しの疲労感を感じながら神無月さんを目で追い掛ける。

(神無月さんはもっと疲れてるはずなんだけど…10分の休憩で足りるかな?)

 俺はそんな事を思いつつ、休憩の延長を検討していると、春雨(はるさめ)さんから声を掛けられる。


「し、し、し、新海(しんかい)君!い、今、今のなんなの!?凄くかっこよかった!え?新海君って実は凄い人?」

 俺は春雨さんにそう言われて苦笑いを浮かべる。

 それは俺はこんな事しかこれといった取り柄がないからだ。それでも単純に自分が得意としている事を褒められるのは嬉しいものだ。


「あ、ありがとう。そこまで褒められると照れるな…。それで春雨さんは俺の動きを頭の中でシミュレーション出来た?」

 そんな俺の質問に春雨さんは悲しげに首を横に振る。


「ううん…出来なかった。私は見ているだけでも精一杯だったよ。全然追いつけなかった。新海君はあの動きの中で考えながら動いているんだよね?」

「まぁ、そうだな。でも最初から出来ないのは当たり前だから、気にすることはないよ。今から頑張っていけばいい話だから。」

「そ、そうだよね。うんうん…。」

 少しだけしょんぼりとした様子の春雨さん。目の前で行われた事に辿り着ける未来を全く想像できなかったので、自信を少しなくしているようだった。

 俺はそこで声を掛けようとするが、俺の背後から先に声が掛けられる。


「春雨さん、今は気にする必要はないわ。私も一応子供の頃から、剣術とかをやってきたわけだし、体も鍛えてる。そんな今まで積み重ねてきたものがあって今ここまで動けているのよ。

 まぁ、新海君には赤子のようにあしらわれるけどね。だから最初のうちから自信をなくしてちゃダメよ。まだやってすらないのに。自身をもっと鼓舞していかなくちゃダメね。」

 そんな事を言った神無月さん。どうやら春雨さんを励ましているようだ。

(こういった優しい一面もあるのに、普段はツンツンしていて、もったいない…。)

 俺はそんな事を思いつつ、春雨さんを見ると神無月さんの言葉で少し元気が出たようだった。


「そ、そうだよね。まだ初めてもいないのに、弱気になってたらダメだよね。う、うん、頑張る!」

 俺はそんな2人のやりとりを視界に収めながら、時刻を確認する。

 そして休憩時間を延長し、あと10分程神無月さんに休憩してもらう事を決める。


「神無月さん。あと10分後再開に変更するね。」

「…分かったわ。」

 そこで俺が神無月さんの方を見るとちょうど水分を補給しているところだった。服もどうやら俺達が話している間で着替えてきたらしく、ピンクのTシャツから、ブルーのTシャツに早変わりしていた。

(神無月さんの高速着替え術には目を見張るものがあるな。)

 疲れていたからだろうか、俺はそんなくだらない事を考えていた……。


―――――――――――――――――――――――――――


 休憩後、練習を再開する。その15分程の練習でも俺から攻撃に転じる事は無かった。神無月さんの成長は著しいものであったが、俺から攻撃を開始するにはまだ足りないと判断して、今日は手を出さずに終わった。

 軽い足払いや、体勢崩しにやられているようではまだまだ先は長い。神無月さんの為にも俺は妥協するつもりはなかった。


「はぁはぁ…結局あなたに攻撃させる事も、攻撃を当てる事も一回も出来ないなんてね…。ほんと先が見えないわ…。」

 神無月さんは両手を両膝に当てて体を支え、肩で息をしながらそう言った。


「まぁ、でも素人からは脱出してると思うよ。一般人相手には、殆ど苦戦しないかな。」

「そんなのじゃ意味がないわ。」

「うん、そうだね。だから、焦らずやっていくのが1番だよ。また来週頑張ろう。」

 俺は神無月さんの成長は遥かに早いと思っていた。

 最初は半年程習得にかかると思っていた格闘術も、恐らくはその半分程で済むのではないだろうか?

 俺はそんな先の事を考えていると、今日は解散の流れとなる。


「今日はここまでかしら?」

「そうだね…。えーと、静的ストレッチをして今日は終ろう。」

「…分かったわ。」

 そう言って俺達2人は腕や足の筋肉を伸ばすようにストレッチを始める。そこで春雨さんが俺に話し掛けてくる。


「あの、どうてきストレッチ?と、せいてきストレッチ?って、何が違うんですか?」

 春雨さんはそんな事を訊いてくる。俺は春雨さんの素直な疑問に簡単に説明する事にした。


「えーと、簡単に言うと、動的ストレッチは運動前にやるストレッチで、軽く動きながら行うストレッチの事だよ。手をスイングしたり体を回したりする動きの事だね。

 逆に静的ストレッチは運動後に行うものなんだけど、これは筋肉を伸ばしているんだ。通常の可動域を越えてやることで、運動後の怪我の予防につながるんだよ。」

 俺はざっくりと実際にやりながら春雨さんにそう説明した。春雨さんは自身の知っているものに合致したのか、納得した様子で左の掌を握った右拳で、「ポン」っと叩いていた。


「なるほど、静的ストレッチが準備体操で、動的ストレッチがラジオ体操みたいな感じなんですね!」

「ラジオ体操?」

 俺はその単語を聞いた事が無かったが故に、思わず訊き返してしまった。

 そこで俺はその自身の失敗に後悔する。


「え?新海君ラジオ体操知らないんですか?」

「えーと…そうだね。」

「えぇ!?そうなんですか?意外です。ラジオ体操を知らない人なんているんですね。新海君、格闘術も凄い腕前ですし、何者なんです?ちゃんと学校行ってました?山籠りとかしてたんじゃないですか?」

 春雨さんはそう言いながらどんどん俺に接近しながら質問を飛ばしてくる。俺はどう誤魔化そうかと考えていると、神無月さんがこちらを見ている事に気づく。どうやら変な事を言うと面倒な事になりそうだ。

 俺は神無月さんにバレないように声音、表情を取り繕い嘘を吐く。


「俺、子供の頃は今はもういないじいちゃんと山籠りをしてたんだよ。そこで格闘術も教わったんだ。じいちゃん格闘術の達人だったから、毎日スパルタだったんだよ。それで今はこうしてある程度まで出来るんだ。」

 春雨さんはそんな俺の嘘を少し驚いたように聴いていた。


「へー、そうなんですか…。子供の頃からなんて。大変だったんですね…。」

「そうだね…大変だったよ…。」

 俺は春雨さんに嘘をついた事に罪悪感を覚え胸を痛める。

 しかし俺は最後だけは嘘をつく事なく答えた。

 そして、静かに静的ストレッチを終える。

 そこで俺は自身の腕時計で時刻を確認する。4時17分。確保した時間の割には良い練習になったはずだ。

 なので俺は帰りの準備を始めようとする。

 するとそこで神無月さんに声を掛けられる。


「新海君。あなた明日は暇かしら?」

「え?いや、すまん明日は既に予定が入ってる。でも、時間が被らないのなら大丈夫だぞ。」

「そう…。なら、明日の19時半。空いているかしら?」

「その時間なら…大丈夫だと思う。」

「分かったわ。なら、明日その時間に私の部屋に来て欲しいわ。」

「「は?」」

 俺は思わずそんな声を漏らす。ついでに春雨さんも話を聴いていたのか、同じような声を漏らしていた。


「ちょちょ神無月さん!?ちょっと大胆すぎじゃないですか?そんな夜に男女が部屋で2人っきり…。私何が起こるか心配で、夜しか眠れないです!」

 俺は春雨さんの言葉を聴いており、納得するところがあった。確かに俺は手を出すつもりはないが、部屋で男女が2人っきりはまずい。いつ俺の理性が崩壊するかも分からないが、そこらへんの事を神無月さんは考慮しているのだろうか。


「えぇ、問題ないわ。別にこの人も流石に手を出さないでしょう。」

「そ、そうかもしれないですけど…。」

 春雨さんは俺の方を見て、心配そうな顔になる。


「新海君。神無月さんの大人の色気にやられたらダメですよ?既成事実とかとんでもないものが出来ていたら私、本当に怒りますからね!?」

 この子はなんて事を言っているのだろう…。よくそんな事を言えたものだ。

 後に春雨さんはどこかで顔を赤くするだろうなどと思いつつ、俺は春雨さんに答える。


「大丈夫だよ。神無月さんはそんな事しないから。」

 俺はそんな事を言いつつも、心のどこかでは期待している自分がいた。そんなやりとりをして俺達は帰りの準備をし、更衣室に向かって着替えをし、今日は解散となった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ