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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第7章 異能強化に励みましょう!
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7-4 異能訓練②

「…春雨(はるさめ)さん、無理強いはしないけど…春雨さんも格闘戦術とか異能を使った自衛を考えてみないか?

 いや、した方がいい。」

 俺はそこで真剣な目つきになり、春雨さんを見詰める。俺の言葉を聞いて少しだけ嫌な顔を浮かべた春雨さんだったが、俺の目を見て息を呑んだ。

 そして、神妙な面持ちで手を震わせながらも、俺の言葉に答えてくれた。


「…新海(しんかい)君の言いたい事は分かります。新海君は、私が異能を制御出来た未来を見越して、今心を鬼にしてそう言ってくれているんですよね?

 私の異能は人体干渉力が高くて、それを悪用しよう、有効活用しようとする人達が集まってくるって事ですよね?」

 俺はそこで黙って頷く。

 どうやら春雨さんも自身が置かれている状況についてはある程度理解はしているようだ。

 そして、それが分かっているからこそ、昔を乗り越える必要がある事も理解している。

 しかし、まだ踏み出せていない。

 それは先程春雨さんが喋った時に俺は気づいた。語気が弱く、声も微かに震えていた。春雨さんは過去を思い出しているのか少し辛そうにしつつ、胸に手を当てていた。

 俺はそこでも、何か気の利いた言葉は出てこなかった。その際に俺はどんな言葉でもいいので、言葉を掛けてあげたほうがよかったのかもしれない。俺は春雨さんの気持ちを理解しようとしているが、本当の気持ちにはまだ辿り着けていないのだ。

 そうして俺が、言葉を頭の中で選んでいるうちに、春雨さんは辛そうにして、その場でしゃがみ込んでしまった。

 俺も片膝を立ててしゃがみ、春雨さんの近くに寄り添う。「ハァ…ハァ…。」と呼吸を荒くする春雨さん。俺は自身の無能さに不甲斐なさを感じた。春雨さんの首筋に汗が流れる。

 俺はそこでとりあえず何か飲み物を飲ませようと思い、春雨さんに背を向けて俺は立ち上がろうとするが、俺は春雨さんに背後から服を引っ張られる。

 俺はピタリと動きを止め、振り向こうとするが、こちらの動きも春雨さんに止められる。


「こっち、見ないでください…。恥ずかしいところ見られたくない…です。」

 そう言って精一杯声を絞り出して喋りかけてくる春雨さん。


「ちょっとだけ昔の事を思い出しちゃっただけです…。あにょ…新海君には近くにいて欲しい、です。」

 そこで俺達の間には沈黙が流れる。その間にも春雨さんの荒い呼吸音が聞こえてくる。

 そして、その沈黙を破ったのは春雨さんだった。


「私甘えてました。ただただ新海君の存在に甘えていたんです。自分の身は自分である程度守れるようにならないといけない事は分かっていたんです。でも、「新海君が私の事を守ってくれる。」、勝手にそう思い込んでいたのかもしれないです…。」

「いや、俺は…。俺の見ている、手の届く範囲なら俺は迷わず春雨さんを助けてみせる。守ってみせる。」

「…ダメなの…、それだと。」

「どうして?」

 そこで俺は春雨さんの悲しそうな声を聞いて、思わず気になってそう質問する。


「このままだと私、新海君に寄りかかってるだけです。私は新海君とは友達です!なので、支え合っていく関係に私はなりたいです…。そうしないと次の関係には進めない…でしゅ…。」

 春雨さんの意思が籠もった言葉に俺はそこで気づかされる。

(春雨さんは自分だけが何かをしてもらい、俺には何も返せない。そんな一方的な関係が嫌だったんだ…。)

 俺達はあくまでも友達。偽りの無い対等な関係であり、お互いがお互いを想い助け合う関係だ。つまり、今のままでは一方的に寄りかかっていると思っているのだろう。

 俺は別にそんな事は思っていなかったのだが、春雨さんは違うらしい。

 するとそこで春雨さんが再び喋り始めたので耳を傾ける。


「新海君…。私やります…。いつまでも足踏みしてるわけにはいかないですよね?だから、私に教えてください…。」

 俺はそこで春雨さんの決意に心を打たれていた。

(なんて心が強い子なんだ!!)

 俺は純粋にそう思っていた。

 何度折れ、砕けたか分からない心。欠片を拾い、修復して修復して、また挑もうとしている。俺は春雨さんの成長をこの目で見たい、そして守ってあげたいと、心からそう思った。

 春雨さんが俺の服から手を離した事を確認し、振り向き立ち上がる。春雨さんも俺に合わせて立ち上がる。

 そして俺は、春雨さんのつぶらな目を捉えて離さない。


「春雨さん。そう言ってくれて俺は嬉しい。でも、初日からは危険だから、格闘戦術は俺と神無月さんとの練習を見ててくれないかな?異能の方は基本的な事を教えるよ。」

「わ、分かりました。」

 春雨さんは俺にじっと見詰められた事によって少し恥ずかしくなったのか、身をよじらせ、視線もぐるぐると泳がせて大航海していた。


「えーと、春雨さんは異能を使った事が全然ないの、かな?」

「はい…。異能を使う事が子供の頃から怖かったので。全然試した事もないです。」

「わかった。えーと、なら、昨日言ってた空気を圧縮する事から始めよう。これでとりあえず空間干渉力を見てみるよ。出来なかったら出来ないでいいから、とりあえずやってみよう。」

「は、はい。」

 春雨さんはそういった事を恐らく一度もやった事がないだろう。なので、これは失敗に終わるはずだ。

 案の定春雨さんは手を前に突き出して、試行錯誤しているようだが、何も起こらないようだし。


「何も、起きないです…。空気を圧縮って、周りの気圧を高めて空気を一点に集めるって事ですよね?」

「そうだね…まぁ、出来ないのなら、今後出来るようになれば大丈夫だよ。家でも簡単に出来るから、空間干渉力を鍛えるにはちょうどいいからね。」

「そうだよね…最初から出来たら誰も苦労しないよね。」

 そう言って春雨さんは神無月さんをチラリと見る。

 そこで俺も少し様子を見る為に視線を神無月さんに移す。2種類の干渉力を使っているので、それを長時間続けるとなると相当な体力と集中力が必要になってくる。

 それでもまだ始まって10分程だったので、神無月さんも少し余裕そうだった。俺はそこで、もう1つのガラス玉を取り出し、春雨さんに手渡す。


「今度はこれを圧縮出来るかやってみて。ガラス玉は割っても潰しても大丈夫だから。」

 俺は神無月さんに渡したガラス玉と全く同じ物を春雨さんに渡すと、春雨さんも神無月さんと全く同じ反応をしつつも手のひらの上に置いて、練習を始めた。これで、物体干渉力が測れる。

 そして、その間に俺は神無月さんにある事をする。俺から神無月さんとの距離は約25m。干渉力は距離が離れるほど当然弱くなる。俺はその事を分かっておりつつ、この距離から神無月さんの手元にあるガラス玉を制御する。俺はそこで目を細めてガラス玉を捉える。

 そして、俺は動かす訳ではなく、ガラス玉を静止させた。他人が干渉している物体でも、干渉力が上回る事が出来るのなら、制御を乗っ取る事が可能なのだ。

 神無月さんは突然動かなくなったガラス玉に驚き、思わず「え?」という言葉を漏らしていた。

 そして、再び制御権を神無月さんに返す。すると再び動き始めるガラス玉。神無月さんは訳が分からない様子で練習を続けていた。

 制御権が他人に簡単に奪われるようではダメだ。それは自身の武器が簡単に無力化される事を示す。神無月さんからガラス玉はほぼゼロ距離。俺からガラス玉までは約25m。これではまだまだダメだ。せめて10mくらいまでは、俺から制御権を奪われず保てるようにならなければならない。

 そう思いつつ、俺は再び春雨さんの方に意識をむけるのであった……。

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