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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第7章 異能強化に励みましょう!
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7-1 調子には乗るな

 俺達はトレーニングが終わった後は体育館に戻り、先輩達のサポートなどをしていた。シャトル拾いや、線審、得点をカウントする役などといった役割をこなすうちに今日の練習が終了した。

 時計で時刻を確認すると、既に11時半を少しだけ回っていた。意外にも早く時間が経っている事に気づき、俺は驚く。

 そして、片付けを皆で始める。その間、俺はモップがけをしていると、右隣に並ぶようについてくる人がいた。俺がそちらに視線を向けると、その人はどうやら町田まちだ先輩らしく、俺が見ている事に気づき、ニコリと微笑んでくる。

 俺は何故か無意識の内に警戒をしてしまうのだが、それが悟られる前に俺は普段の様に取り繕う。

 そして、俺が話し掛けるよりも先に町田先輩が話し掛けてきた。


新海(しんかい)君は今日の部活、どうだった?」

「え…そ、そうですね。…楽しくは…あまりなかったです。やっぱり体力づくりが中心だったので…あと自分が打てずにサポートばかりなのも少し退屈ですね。正直に言っちゃうと…。」

 町田先輩は俺の言葉を聞き、少し黙り込む。そんな汗を掻いた中、黙り込む姿も美しく、少し視線を送るのも気後れしそうになる程だったが。

 そして流石にストレートに言いすぎたかと思い、先程の発言をぼかすために早口で捲し立てる。


「あ、で、でもっ、その、トレーニングも重要って事も分かってますし、えーと、バドミントンをしている町田先輩もかっこよかった?です。えーと、それから…」

「あははっっ……新海君面白い…ふふっ。」

「え?」

 俺は突然笑い出した町田先輩に対して、目を丸くする。そこで俺はやっと気づいた。俺は町田先輩にからかわれていた事に。


「ごめんね、新海君。思わず意地悪しちゃった!」

 丸めた右手を頭にコツンと当て、ほんの少しだけ舌先を出す姿を見て、俺はドキリと心臓を跳ねさせる。男子の扱い方を分かっている人と話すのは少し苦手だ。いつもこちらがペースを乱される。大半は俺が勝手に意識しているだけなんだが……。


「……そりゃあ、トレーニングやサポートばかりだと、退屈なのも仕方ないよね。私もそうだったからね。

 でもそれなら、私が退屈凌ぎに付き合ってあげようか?」

「え?そ、それって……。」

 俺はそこまで言ってから、直ぐに右手で口をパッと押さえる。

 しかしもう遅い。


「うっそー!ねぇ、今引っかかったよね?ふふふ。新海君って、普段から冷静な様に見えて、実際はそうでもないのかな?やっぱり男の子なんだね。」

 町田先輩は小悪魔が浮かべる様な可愛らしい満面の笑みでそんな事を言う。

 そしてモップがけも終わり、モップのゴミをさっと落として、俺の元から足早に去っていく。全く、嵐の様な人だ。

 そこで俺は、あの人に今後もめちゃくちゃに振り回されるのだろうかと先の未来を想像しつつ、モップから出たホコリなどを掃除機で吸っていく……。


―――――――――――――――――――――――――――


 部活は普段通り皆で挨拶をする前に、中山(なかやま)さんから話があった。その話も締め括られて終わり、通常通りに挨拶をして部活が終了した。

 そして、更衣室で俺が着替えていると、鷲川(わしかわ)先輩に左隣から話し掛けられる事になる。


「なぁ新海。この後皆で飯、食わないか?」

「え?どこでですか?」

「食堂だよ。たけさん…あー、中山コーチも一緒だぞ。あと…女子も数名?」

 俺はそこで悩むフリをする。別に中山さんと話がしたいわけではなかったが、せっかくの先輩からの誘いなので、受ける事にした。それに女子も来るみたいだしな!うん!


「分かりました、俺も行きます。」

 そこで俺は右隣で並ぶ様に着替えていた、勝也(かつや)三神(みかみ)にも訊いてみる。


「勝也と三神も行くか?」

「いや、俺はパス。ちょっと疲れたからさっさと部屋に帰って寝るわ。」

「そうですね、僕も少し疲れました。新海君が女子達に手を出す機会をやすやすと与えてしまうのは大いに不服ですが、僕もパスしておきます。」

「そうか、三神はもう誘ってやらん。」

「な、なんでですか!酷いですよ新海君!?」

「あはは…分かった。なら着替えたら直ぐ行くからなー新海。」

「分かりましたー!」

 俺は更衣室を出ながらそう言い残す鷲川先輩を見てから、時刻を確認する。11時51分。午後の約束には十分間に合いそうだ。時間がかかりそうなら途中で抜ける事を考えながら、勝也と三神に「またな」と言い残し、更衣室を出る。

 すると更衣室前には今から食堂に向かうと思われるメンバーが集まっていた。そこには神無月(かんなづき)さんの姿もあった。俺は少し驚く様に身を仰け反らせつつ、渡辺(わたなべ)先輩が話を始めたので、黙って聴く事にした。


「新海で最後か?博隆(ひろたか)。」

「そうですね…。それじゃあ行きますか。」

 そう言って皆は足並みを揃えて出口に向かって歩きだす。俺はその間にさりげなく神無月さんの左隣に並び、話し掛ける事にした。


「神無月さんがこうゆう誘いに来るなんて意外だったよ。」

「えぇそうね。私も行くつもりはなかったのだけれど…遠藤(えんどう)先輩に、付いて行かないと怪しげなマッサージをされそうになったから、身の危険を感じて仕方なくついてきたわ。」

「なるほど…。」

 俺はそこで何をされそうになったのか容易に想像がついたのだが、逆にこの場に中条(なかじょう)さんがいないのは、遠藤先輩がいるからだろう…。

 そして既に断った事による怪しげな制裁が下されていそうだが…。

 そこで俺はその際の様子を想像しそうになるが、神無月さんの俺を見る目がだんだんと険しくなっていたような気がしたので、その想像を物理的に振り払う。


「……まぁ、いいわ、先輩と交流する事は悪い事じゃないし。どうせ昼食を摂らなければならないのだから、いつもと変わりはしないわ。」

「そ、そうか……。」

 俺はそこで不意に気になった事を訊いてみる事にした。


「そういえば神無月さんって、普段どこでお昼食べているの?いつもは食堂で見かけないから少し気になって。」

「…そうね、いつもは休憩室で食べているわ。弁当を持ち込んでね。…この前は誰かさんが抱き合っているところを見てしまって、別の場所で食べる事になっていたのだけど。」

「グフッッッ!?!?!」

 俺はそこで思いっきり噎せた。

 まさか春雨(はるさめ)さんと話をしていたところを見られていたとは思わなかったのだ。更に俺は複数回咳き込んだ後に、無理矢理言葉を続ける。


「は?え、え?まさか神無月さん見てたの?」

「えぇ、ちょうど春雨さんが崩れるところからね。あなたの顔も真剣そのものだったから特に追求するつもりはなかったけど、変なものを見せられたわ。」

 神無月さんはあくまでも無表情のまま、淡々と告げる。でも何処か満足げな神無月さん。


「変なもの言うなし…。てか見られてたのか…全然気づかなかった…。」

 俺も辺りの気配は探りつつ春雨さんの話を聞いていたのだが、俺も煩悩が混じっており、まだまだだったようだ。

 するとそんな中、神無月さんは俺の悔しそうな顔を覗き込んできて、少し笑った。


「フフッ…あの時の私は気配を消していたから、分からなくても仕方ないわ。」

 俺はそんな言葉を言われて、煽られている事に気づくが…そこでは何も言わない。

 しかし餓鬼な俺は、午後から神無月さんに少しだけ意地悪することにした……。


―――――――――――――――――――――――――――


 食堂に着くと、各々好きなものを持ってきて、幅の広い長机に皆で並んで座っていた。俺は1つの机に並んで食べていると、少し昔を思い出す。

 しかし、今回は部活の人達と食べるので、また違った感情を抱いており、とても楽しかった。

 そして俺の対面には、左から中山さん、鷲川先輩、遠藤先輩、東野(ひがしの)?先輩、神無月さん。俺の右隣に町田先輩。左には佐野(さの)先輩、渡辺先輩という順番で座っていた。

 俺の右斜め前に座っている人は東野先輩であっているはず。東野先輩は話したこともないが、前髪をトップでまとめて、ヘアアクセサリーで留めている、いわゆるポンパドールと言われる髪型をしており、少し印象が強かったので、俺も名前は覚えていた。

 そしてどうやら町田先輩と仲が良いらしく、2人で喋っていた。神無月さんは1人で黙々と食べていたが、俺は佐野先輩や鷲川先輩に話し掛けられていたので退屈する事はなかった。

 そんな中で、俺は豚カツ定食(250円)を頬張っていると、東野先輩に話し掛けられた。

 いや、町田先輩との話の内容が、俺についての事を話始めたので、俺も強制参加という状態で話は始まった。


「そういえば…優佳(ゆうか)、新海君の事、お気に入りなんでしょ?」

「グフッ…」

(あ、町田先輩が噎せた…。意外だな…全部冷静に受け流していくのかと思ってたのに…。)

 俺はそんな事を思いつつ話はしっかりと聴く。


「ちょ、ちょっと絢香(あやか)!急に何?そんな事言い出して。」

「えー、だって部活が始まる前から言ってたでしょ?それに…部活中に明らかに新海君の事、目で追ってたよね?」

 そんな囃し立てる様な言葉に珍しく慌てふためく町田先輩。そもそも俺は初めてそんな姿を見たので、普段とのギャップもあり、より一層可愛く見えてしまい、顔の表情筋がどうしても緩んでしまう。


「そ、それは、期待の新人だからよ?副部長として優秀な人に気を向けるのは当然だと思うのだけれど?」

「そうかなー?優佳の目、結構マジな目だったよ?」

 俺は口の中の豚カツをゴクンと飲み込み、無理矢理喋り始める。


「え?そうなんですか?東野先輩。」

「そうそう、もう本気の目で君の事見てたよ。」

「へぇー…。」

 俺はそんな風に言って町田先輩を見るとジト目を向けられる。そして、東野先輩から見えない位置、つまり机の下で俺の横腹をギュッとつねられる。


「いっ……。」

 俺は思わずそんな声を漏らす。


「新海君…あまり調子に乗らないほうがいいわよ?」

「で、でたー、優佳のダークサイド!…怖っ…。」

「絢香…あなたもいい加減にしないと、ね…?」

 俺はそんな風に内心とても怒っているはずの町田先輩が、普段となんら変わらない笑顔だった事に恐怖した。

 声は普段よりも低く、冷気を纏う感じがして、なおさら怖かった。ついでに言うと、背後にはいるはずのない魔王の姿を幻視したのだが、あれは気のせいだったのだろう。

(え?気のせいだよね?ね?

 こ、怖あぁぁぁぁ…それで今後はあまり怒らせないようにしよう…。)

 そして俺は町田先輩のダークサイドに震えつつ、そう心に誓ったのであった……。

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