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1-4 友達?って素晴らしいね!

 俺は食堂へ向かう途中、藤堂(とうどう)を尻目で見て感動していた。

(藤堂、お前結構普通な奴やん……。)

 入学初日から永遠と爆睡していた奴とは思えない程、こいつは普通?だった。そして藤堂とは食堂に向かう途中で会話を弾ませる。

(これが友達?のたわいもない話か。そうそうこれだよこれ。こんなしょうもない話で花を咲かせる事が出来る相手が欲しかったんだよ。)

 俺はそんな事を思いつつ、口角が自然と吊り上がっている事は自覚していた。しかし実際にそれを指摘してくる俺の左横から放たれたキツイ一言に、俺は思わずワンパンを放ちそうになった。


「キモッ…隼人(はやと)何ニヤけてんの?うわー……。」

 俺は左横に直ぐ様振り向き、鬼の形相で睨みつけながら言い放つ。


「は?お前殴られたいのか?いいぞ、1発いっとくか?」

 そう奴だ、奴が現れやがった。いつもいつも直ぐに俺の邪魔をしやがる。(かえで)は何故こうもタイミングよく現れるのだろう。俺は特別フェミニストでもないし、楓相手には気を使う必要はないと思っていた。そして藤堂は首を傾げつつ楓を見ていた。


新海(しんかい)君、知り合い?」

「あぁ一応な。幼馴染みみたいなものだ。不本意だけどな。」

「ちょっと失礼じゃないあんた…?まぁいいや。私は1-Cの金宮(かなみや)(かえで)。よろしくね。あなたは?」

「俺は1-Eの藤堂(とうどう)竜星(りゅうせい)。よろしく。一応新海君の隣の席なんだ。」

「てか、楓ってCクラスだったのか?昨日言ってくれればよかったのに…ん?その子は?」

 楓の俺に対して食ってかかろうとした事は水に流され、俺はそこで楓の横で一緒に立っていた子に気づく。小さく(うずくま)る様に立っていた為、気づくのが遅れたのだ。そしてその子はそもそもの存在感がとても薄い。第一印象としては、ゆるふわヘアーで顔もよくみたら可愛いが、眼鏡をしており、なぜか暗い雰囲気を醸し出しているといった印象を受けた。

 そして楓は俺の質問に軽く返答し、その子の紹介を始める。


「クラスの事は伝えるのを忘れていたのよ。えーと、この子は大崎おおさき沙代(さよ)ちゃん。今日知り合ったの。」

「…よ、よろしくお願い…します…。」

大崎さんと呼ばれた子は少し戸惑いつつも俺達に挨拶をしてくる。


「「うん、よろしく(ね)。」」

「とりあえず食堂入らない?こんなところで立ち止まらないでさ。」

「そうだな。4人席が埋まる前に早く行かないとな。」

「ちょ、勝手に何4人で食べる事を決めてんのよ!…まったく…。沙代ちゃん、ごめんね?一緒に大丈夫かな?」

「う、うん、大丈夫だよ。楓ちゃんの幼馴染みなら心配ないかな……。」

(……あれ?なんでみんな僕には何も許可とらないの?あれれ?あれ?)

 そんな藤堂の思いは露知らず、故意的?に流されていった……。


―――――――――――――――――――――――――――


 そして俺は食事を乗せたトレーを持って椅子に座った後、藤堂を見てびっくりしていた。こいつ関連で驚く事なんて今日は既にないと俺は勝手に思っていたのだが、そんな考えは一蹴されてしまったのだ。


「藤堂…お前、それ本当に1人で食べるんだよな?」

「うん、そうだけど…どうかしたの?」

 俺は一応そう聞いてみた。しかし藤堂は特にそれがあたかも当然かの様にキョトンと目を丸くして俺を見ていた。俺が何に驚いていたのかと言うと、藤堂の前には大量の食事が用意されていたのだ。そして俺だけではなく、楓と大崎さんも一緒に目を白黒させていた。


「と、藤堂君って、大食いなんだね、なんか意外…。」

「う、うん、なんかイメージと違うね…なんかこう大人しそうなイメージだったから…勝手に小食かと…。」

(やっぱりみんなも同じ事思ってるじゃん…。)

 最初はカレーとうどんを持ってきて、「結構食べるなこいつ」とかそんな事を思っていたら、更に定食の豚カツセットまで持ってきやがった…。

(お前のどこにその量が入るのか俺に教えてくれ…!

てか、お前今日寝てただけだろ!エネルギー絶対消費してないからね?!え?俺はどうなのかって?俺は豚カツ定食だけだよ?でも、それが普通だよね?え?)


「元々大食いなほうなんだけど…昨日は徹夜でRTAしてたんだけど、そのせいで夜から何も食べてないんだ。徹夜は流石に疲れたよ。」

 俺の考えを見透かしたかの様な言葉は、俺には意味が理解出来ないものだった。楓の表情を見る限り、楓も言葉の意味を理解出来いないらしい。しかし大崎さんは理解出来ていたようだが、彼女の性格もあってか、それについて話そうとする事は結局なかった。


「藤堂…お前だから今日ずっと寝てたのか?」

「うん、勉強は苦手なんだよねー。だからその間に睡眠時間の確保だよ。」

 俺は流石に呆れ、言葉を失う。いや、藤堂意外の全員は今「こいつアホか?」と、思ったに違いない。絶対そうだ。


「そういえば今日はこの後に身体計測があって、その後に部活動体験もあるよね?新海君一緒にどう?僕はもう入る部活決めているんだけど…。」

「え?そうなのか?うーん、俺はまだ決めてないからな…なら今日一緒についていくよ。」

「そう?じゃあ決まりだね。」

「てか、それって何部なんだ?」

「それは行ってからのお楽しみだね。」

「…なんだよそれ。まぁ、いいけど、じゃあ楽しみにしてるわ。」

 俺はこの学校のパンフレットを見たとき、部活動というものにも少し憧れていた。「部員みんなで一緒にスポーツやイベントを出来るなんてなんて素晴らしいんだ!」と、そんな事を思っていた。更に部活を通して友達も増える事が予想出来た。部活も楽しめて友達も増える。一石二鳥いや、三鳥くらいまでになっていくだろう。なんて事を俺は思っていた俺は、今日その誘いに乗って藤堂について行った事に、後々後悔するはめになった……。

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