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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第2章 調子に乗るな勘違い野郎!
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2-10 これはデートですか?いいえ、違います④

 カフェカリブを出た俺達は、近場のスポーツ用品店に足を運び、トレーニングウェアを探していた。


「いいの見つかった?」

 レディースのコーナーから、ひょっこりと顔を出して、そう訊いてくる中条(なかじょう)さん。


「うん。大体は決めたけど、やっぱり実際どうなのかわからないから…やっぱり店員さんに訊いてみるのが1番かな?」

「やっぱりそうだよねー、自分達だけで決めるのは難しいよね。」

 いまいちどれが良いのか分からなかった俺達は、服選びに苦戦していた。そして俺は、ふと湧き上がってくる様に浮上してきた事を、訊いてみる事にした。


「そういえばなんでバドミントン部だったの?まだ決めたわけじゃないみたいだけど…何か理由があったのかな?って。」

 俺の言葉を聞いた中条さんは、顎に手を添えて少しだけ考える素振りを見せた後、ゆっくりと喋り始める。


「うーん、理由は特にないんだけど…まぁ、強いて言うなら…中学校の体育の授業でちょこっとだけ上手だったからかな?この学校で、部活は運動部に入ろうとは元々決めてたんだけど…どの部にするまでは決めてなかったんだ。新海(しんかい)君は?結局どうするの?」

「俺は…。」

 俺は中条さんにそう言われ、少し言葉を詰まらせる。別にバドミントンが良いわけでも悪いわけでもなかった。

 更に言うなら他の部をまだ見ていなかった俺はまだ選択の余地はあると思い、迷っていた。しかし俺は気がつくと勝手に口を開き、そう喋っていた。俺自身なぜそうなったのかも分かっていなかったが、多分頭の中ではとっくに決めていた事だったのだろう。


「多分…バドミントン部に入ると思うよ。」

 話に耳を傾けていた中条さんは、「そうなんだ」と軽く呟いていた。そこで俺は、バドミントン用品のコーナーから聞き覚えのある声が聞こえた気がしたので、顔をひょこりと出してみた。もちろん中条さんもついてきて、一緒に顔を出していた。

 そしてそこにいたのは遠藤(えんどう)先輩と鷲川(わしかわ)先輩だった。直ぐに声を掛けようかと思ったが、何やらお取り込み中だったようでこちらには気づいていない。


「ねぇ新海君。あの2人ってバドミントン部の先輩だよね?名前までは…知らないんだけど。」

「そうだよ。えーと、女の人のほうが遠藤(えんどう)奈々華(ななか)先輩で、男の人が鷲川(わしかわ)博隆(ひろたか)先輩だね。」

俺は中条さんを見ながらそう説明し、再び視線を2人に戻す。遠藤先輩はモカのカーディガンにベージュのボタン付きのミニスカート。今日は昨日見た時とは違い、髪型は黒のゴムに縛られてポニーテールになっていた。

 鷲川先輩は灰色のパーカーに紺のズボン。パーカーは背中にスポーツメーカーの名前が描かれていた。髪の色は黒色で、爽やかなツーブロックが先輩の雰囲気とも合致してとても良く似合っていた。

 2人ともバドミントンラケットのケースを手にしており、バドミントン用品のコーナーにいるとなると、何をしにきているのかは、俺は直ぐに分かった。

 そして俺達の距離からなら、会話の内容が聞きとる事が出来たので、少し耳を傾けて盗み聞きしてみることにした。


「おい、奈々華…いつになったら決めるんだ?お前…かれこれ30分以上はここにいるぞ…。」

 呆れた様にため息をつく鷲川先輩。そんな事を言われて遠藤先輩は鷲川先輩を見て頬を膨らませていた。


「えー、酷くないひろきち。今日付き合ってくれるって言ったのはひろきちだよね?なら責任もって最後まで付き合ってよ。どうせまだ帰れないんだからさ。…うーん…あ、こっちの色もいいよね!!」

 鷲川先輩に文句を言った後、直ぐに視線を前に戻す遠藤先輩。


「おいおい、確かにガットの色は俺も少しだけ悩むけど、そこまで悩むかぁ?普通…。」

「ちっちっち、わかってないね、ひろきちは。」

 そこで遠藤先輩は自身の声に合わせて指を振る。得意げな顔がなんとも腹立たしい。


「何がだよ?」

「スポーツをしている女子は、見た目にも配慮しているのだよ!」

「フフッ。」

「「え?」」

(あ、やべっ。俺達が盗み聞き&盗み見していた事がバレた。)

 俺は遠藤先輩は眼鏡をかけていないのに、さもかけているかのように眼鏡をクイッとする仕草に笑いが溢れてしまっていた。流石にそんな笑い声を出してしまったので、2人にバレてしまい、完全に目が合っていた。どうせ話し掛けるつもりだったので、問題はないだろう。俺は後頭部を掻きながら話し掛ける。


「すみません、遠藤先輩。声を掛けようとしたんですけど…タイミングがなくって…。」

「…奈々華、知り合いか?」

「うん、同じ学校の後輩の子だよ。昨日知り合って…バドミントンの体験入部に来てたんだけど……って、あれ?あれあれあれぇぇ?隼人(はやと)君?」

 そこで遠藤先輩の目の色が変わる。何かとても良いおもちゃを見つけたように目を輝かせる遠藤先輩。その勢いに俺は少し気圧(けお)される。


「な、なんですか?」

「その後ろにいる、とぉぉぉっても可愛い女の子はだ・れ・か・な?彼女?ねぇ彼女でしょ?私にしょう……キャッッ!」

 そこまで言うと遠藤先輩は、鷲川先輩に肩を後ろに引かれ、体勢を崩されて強制的に止められた。

(うんうん、扱いを分かってらっしゃる。)


「すまんな後輩。こいつの事だ、許してやってくれ。ところで名前、教えてくれないか?」

「あ、はい。俺は1-Eの新海(しんかい)隼人(はやと)っていいます。それで、こっちの子は同じクラスメイトの…」

 俺はそこで中条さんにアイコンタクトを送る。


「あ、中条(なかじょう)(もも)っていいます。よろしくお願いします♪」

 彼女は持ち味の笑顔を振りまきながら10度程のお辞儀をした。それに合わせて俺も少し遅れながら同じようにお辞儀をした。


「新海に、中条さんな、了解。俺は鷲川博隆。よろしくな。」

「「はい。」」

 そこでどうやら我慢出来なくなったのか遠藤先輩がこちらに詰め寄ってきた。


「ねぇ、もういい?私も喋っていいよね?許可は取らない!」

 鷲川先輩はそんな遠藤先輩の姿を見て、呆れたようにため息をついていた。

(いやいや先輩止めてよ!この人昨日今日とで分かったけど、暴走機関車だよ!あ、ほら今にも飛びかかりそうな勢いで中条さんに迫って行ってるし…。)


「桃ちゃんでいいよね?ねぇ、隼人君とはどんな関係なの?てか、一回触らせて?」

「へ?いや、新海君とはクラスメイトで…って、さっきも言いましたよね?てか、触るってどこをですかぁぁ?!?」

 中条さんは激しく同様しているのか目を高速で泳がせていた。


「大丈夫、優しくするから安心して?痛くないからね?むしろ少し気持ちいいくらいだよ?」

「ひっっ…!」

 完全に今の遠藤先輩は変態のそれだった。中条さんが顔を引きつらせて、半歩後退するのも仕方ない事だ。そしてこれだと、暴走機関車じゃなくて、暴走痴漢者だと言う事は明らかだった。

 そこで中条さんが流石に可哀想だったので、俺は2人の間に割って入る事で止めようとした。そして、鷲川先輩も同じ事を考えていたのか、全く同じタイミングで止めようとしたのが悪かった。


「「え?」」

 俺達はお互いの肩がぶつかり合い、止めに入れず顔を見合わせてしまった。その間に遠藤先輩は中条さんにハグをしていた。


「「あっ…。」」

 その後はただただ遠藤先輩に中条さんがもみくちゃにされているところを男2人は眺めていた。最初は2人とも止めようとしていたが、美少女2人のそんな姿を見ていると、「まぁいっか」という気持ちになったので、その微笑ましい映像を目に焼き付ける事にした。

(いやいや、よくないよ何やってんのこの人!?と、止めなきゃ…。でももっと見ていたい!あーもう、仕方ない!)

 俺達が止めに入るまでの約30秒間、中条さんは完全に遠藤先輩のおもちゃになってしまっていた……。


―――――――――――――――――――――――――――


「「え?トレーニングウェアを買いに来てた?」」

 2人の仲を表すかの様に、見事にハモった2人。俺は中条さんを助け出した後、今日の目的を話していた。


「はい。でも俺達だけだと、どれを選べばいいのかよくわからなくて。最初は店員さんに訊こうと思ってたんですけど、先輩達の声が聞こえたもので…。」

「なるほどねー、確かに私も最初の頃は迷ったりしたなぁー。でも、分かってしまえば簡単な事だよ。」

 遠藤先輩は、俺の言葉に共感したのか何度も頷いていた。


「そうなんですか?」

「うん。大体初心者が買うものは固定されているから…あとはデザインだけだよ、基本的には。」

「あと部活では頻繁に使うから、だいたい全て2着くらいは用意しておいたほうがいいな、俺もそうしてる。」

 そこで鷲川先輩のアドバイスも入る。遠藤先輩は既に歩き始めて手招きをしていた。


「実際に見ていったほうが早いよ、ほら早く早く。」

 そうして俺達はトレーニングウェアのコーナーで助言を貰いながら決めていく。


「まずトップスとTシャツを2着ずつでしょ。それから、ジャージの上下に…あ、トップスとTシャツは暑いと寒いで使いわけてね。それと…ハーフパンツも2着、一応レギンスも1着ほど持ってたら便利かな。…こんなもんかな?これがあれば困る事はないと思うよ。あ、上に羽織るものは寒い季節になってからでいいと思うから今は買わなくても大丈夫。」

 慣れた様に商品に指を指しながら、簡単に説明してくれた。


「なるほど…後は自分の好みのデザインから選べばいいって事ですね。」

「そうだね。でも上級者になると、お気に入りのメーカーや素材まで気にしたりするんだけど…そこまでは求めてないよね?」

「そうですね、とりあえず自分に合うものならなんでも大丈夫ですね。中条さんもそれでいいよね?」

「うん♪大丈夫だよ」

 遠藤先輩はさっきまでのふざけぶりが嘘のように真剣に答えてくれた。若干早口ながらも簡潔にわかりやすく教えてくれた事には感謝している。


「桃ちゃんはトップスとかこんなのどう?ピンク色の。可愛いと思うんだけど…。」

「そうですね、可愛いですけど…とりあえず試着してみない事には…あ、こっちもいいですね、ワンポイントなのが可愛いです♪」

 そう言ってお互い服を持って自身に軽く当てる様に服を見ていた。中条さんは持ち前の明るさから、遠藤先輩とはすでに馴染んでいるようだった。

 そんな光景を見つつ俺は、白と黒の無地で多少のワンポイントがあるものにと、直ぐに決めていた。

そして男2人は女の子2人のやりとりを聞いて((あ、これ長くなるやつだ…。))と何かを悟ってしまった。

 そんな中、鷲川先輩から「先に会計を済ませておかないか?」と言われ、俺達2人はレジに向かい先に会計を済ませた。俺はそこで少し喉の渇きを感じて飲み物が欲しくなり、飲み物を買う事を提案してみた。


「鷲川先輩、自販機で飲み物買いません?」

「そうだな。俺も少し喉が渇いてきたからちょうどいいな。」

 鷲川先輩は俺の提案に乗ってくれた。案外話し掛けやすく、親しみやすい人なんだろう。そして俺達は店の外の壁沿いにある自販機販売機で飲み物を買う事にした。

 鷲川先輩はなぜかぶどう味の炭酸ジュースを2本買っていたので、少し疑問に思った事を訊いてみる。


「先輩、2本も飲むんですか?」

 俺は先程購入したペットボトルに指を指しながらそう言った。


「あ、いや、これは奈々華の分だ。あいつも喉渇いてそうだからな。」

「なるほど。それなら…。」

 そう言われて俺も中条さんのために、お茶を2本買う事にした。鷲川先輩は気も回る人の様だ。

(お茶でいいよな?無難だし。ここで失敗はしたくないな…。)

 店内に戻った俺達だったが、結局それから50分程待たされる事になったのであった。

(これが女の子のショッピングか、正直舐めていたわ…もういきたくねぇ…。)

 そんな事を思いつつ、やっと会計が済んだようだった……。

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