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素晴らしい学校生活を送りたくて!異能で友達って増えます?  作者: てりぃ
第2章 調子に乗るな勘違い野郎!
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2-8 これはデートですか?いいえ、違います②

 俺は待ち合わせ時間の10分前には着くように部屋を出た。そして俺は今日、普段あまり気を使わないおしゃれを心掛けた。なので至らぬところは目を瞑って欲しい。

 黒のデニムパンツに白のスウェット、その上に黒のテーラードジャケットに黒のスニーカー。少し黒が多いような気がするが大丈夫だろう…多分。俺自身の髪の色が茶色で、こめかみの上部の右側に2つ、「ll型」に青色のヘアピンをつけているので、バランスは保てているはずだ。

 俺はそんな事を考えながら、思わずそわそわしてしまい、心ここにあらずといった状態になっていた。もちろんそれは今日のデート?を意識しているからだ。俺は楽しみだったせいで夜も眠れなかった…って事はなかったが。

 俺はほんの数分程で隣の女子寮に着いてから、1階のロビーに設置してある椅子に腰掛け、更に1分程待っていると中条(なかじょう)さんが姿を現す。

(やっぱり女の子は服装で雰囲気がガラリと変わるよなぁ…。)

 俺は中条さんのお洒落姿を見て、そんな事を思っていた。

 サックスブルーのタックチュニックにベージュのワンピース。白のスニーカーに黒色のハンドバッグ。そして普段はつけていない黒のヘアピンが「XX」のようにして、右側の前髪についていた。

(ボブヘアーのアレンジだな…めちゃくちゃ似合ってるな…。あれ?もしかして俺に寄せてきた?…流石に考えすぎだな、思い上がるのはほどほどにしよう。うん。)

 そんな事を思っているとこちらに気づいた様で、中条さんがトテトテと手を振りながら小走りでこちらに向かってきた。中条さんは息を切らす事なく笑顔で声を掛けてくる。


「少し、待ったかな?」

「いや俺も今来たところだったよ。」

 そして俺がそんな事を言うと中条さんは少し黙り、左手は右手の前腕部、右手は右頬に軽く添える形でジト〜っと目を向けてきた。


新海(しんかい)君…それってよくあるやつ?」

「え?よくあるってなんの事?」

「よくあるじゃん漫画とかで「実は結構前から待ってたけど、俺なりの優しさで黙っておこう!」ってやつ。あれ?新海君ってこうゆうのわからないタイプの人?」

 中条さんは何かの真似をしているつもりなのか、芝居掛かった口調で声を少し低くし、顔つきをキリッとさせてそんな事を言った。俺はその言葉を初めて聞いたので、少し反応に困ってしまった。


「…あーはいはいなるほどね。いや全然違うよ。本当にさっき来たばかりだから安心して。」

(ごめん中条さん、漫画とか読んでないから全然何言ってるか分かんない。適当に返事しちゃったけど大丈夫だよな?多分…。)


「本当にぃぃぃ?怪しいぞ?ムム?」

 そんな小悪魔的な笑顔?で中条さんは俺をからかっているのだろうという事は、流石の俺でもその言葉で気づいた。しかし、その首を傾げる動作ですら、可愛いと思ってしまうのは仕方のない事だろう。うんうん。


「中条さん、俺の事からかってるよね?流石に俺でも気づいたよ?」

「あちゃーバレちゃったか〜。バレちゃったなら仕方ないよね。実は私こうゆうのしてみたかったんだよね?テンプレってやつ。」

 中条さんはチロリと舌を少し出しながら笑い、からかっていた事を認める。しかしどこかその目は遠くを見つめていた。俺はそれをスルーするように話を続ける。


「え?中条さんなら待ち合わせとか全然しそうなイメージだったんだけど。」

「うん待ち合わせはするよ?でも基本的に女の子としか遊びには行かなかったし、数少ないながらも男の子と遊んだ事はあるけど、2人っきりでの待ち合わせは新海(しんかい)君が初めてなんだ。あと女の子同士でするのもいいけど…やっぱり…男の子がいいよね?」

 腕を後ろで組んで、見上げる様な上目遣いでそんな事を言う中条さん。

(なんだそのいちいち含みを持たせた言い方は…!勘違いしてしまうだろ!もう…最高か?)

 俺はそんな事を思いつつ、内心はとてもウッキウキな事をひた隠し、俺は中条さんを見つめて、中条さんを褒める事で点数を稼ぐ。


「そういえば、中条さんの私服は初めて見たけど…とても似合ってて良いと思うよ。とっても可愛いと思う。」

「え?…あ、ありがとう♪新海君もとっっても似合ってるよ♪エヘヘ。」

 俺が言った事は事実だった。そして、お互いほんのりと頬を赤に染めて俺は頭を掻く。中条さんは髪を指先で弄りながら俺をチラチラと見ていた。少しだけ沈黙が流れるが直ぐにその時間は終わりを告げる。


「それじゃあ行こっか?あ、新海君案内してね?」

「おう任せろ!」

 そんな事を言いつつ中条さんはロビーの出口に向かい、前を向いて歩き出していた。その時ふと俺は中条さんの表情が冷めたものになった様な気がした。しかし、次に振り向いた時にはいつもの可憐な笑顔だけがそこにはあった……。


―――――――――――――――――――――――――――


 徒歩での移動が完了した俺達は、目的のカフェの前に立ち、表に出ていたボードを2人で見つめていた。


「ここが新海君のオススメの店?名前は、カリブ?聞いた事ないや。よく知ってたね新海君。」

 俺はそんな何気ない言葉に苦笑いで誤魔化す。中条さんも俺が知った経緯は特に興味が強かった訳ではなかったのか、そこで会話は終了する。

 そこで俺はこの店の立地があまり良いところではないと思っていた。確かにここは大通りの近くとはいえ、路地に入り50m程歩き、ビルの間の薄暗い地下にあるときた。しかも店のボードには名前と営業日の時間のみが記載されていた。こんな雑?な集客で客は集まるのだろうか。それを考えれば、そんな事を思うのは当然の様な気がした。

 確かに前回来た時は、味も雰囲気と共にとても良いものを提供された覚えはある。そもそも入る人がいるのか怪しい状態だが。

(てかなんで神無月(かんなづき)さんはこの店を知ってたんだ?マスターとでも知り合いだったのか?まぁいい。)


「とりあえず入ろうよ。味と雰囲気は俺が保証するよ。」

「え?う、うん…。」

 そう言いながら俺は中条さんの背中を押して階段を下っていった。中条さんは少しだけ首を傾げていたが。

 俺はまず最初に店内を見渡す。そして前回来た時と違った事は、俺達の他に客が2名いた事だ。4席あるカウンター席のうちに右端から詰めて座っていた。2人とも女性で俺達とほぼ同じくらいの年齢に見えた。

 そんな2人組は俺達が来店してきた瞬間、目線だけをこちらに向けて俺達を舐め回す様に全身をくまなく見てくる。見終わると直ぐに視線を前に戻して、2人の会話に戻っていた。


「あれ?意外と空いてるんだね?新海君は希望の席ある?」

「えーと、奥の席がいいかな。それでいい?」

 店内の様子を見渡していた中条さんに、俺の希望の席を聞かれたので、俺は素直に要望を述べた。


「うんいいよ。新海君って、意外と恥ずかしがり屋なのかな?」

「うっ。…まぁそんなものだよ。」

 あっさりと同意を示した中条さんは、クスリと笑い扇情的な笑みを浮かべる。俺は他の客に見られるのも恥ずかしかった事で、4つあるテーブル席の中で1番奥の席を選んだのだが、そんな理由はあっさり中条さんに見透かされていたようだ。俺達は荷物を自身の隣の椅子に置いて座る。


「あ、今日の会計は俺が持つよ。こんな時くらい男を見せる時かなって。だから遠慮はしないでいいよ。」

「え?そんな悪いよ…でも、新海君がそうゆうなら。甘えちゃおうかな?でもお返しは今度、絶っっっっ対するからね?」

 中条さんは最初少しだけ苦い顔をするが、直ぐに笑顔に戻る。中条さんの表情はよくコロコロと変わる。簡単に心情が読み取れるが、それが本当の表情かは分からない。とりあえず話を再開する。


「うん、楽しみにしてるね。」

 俺はそう言って微笑む。しかし内心ではニヤニヤと興奮は止まらなかった。

(や、やべぇぇぇ、今の俺絶好調じゃね!?前回は意識しすぎて変な感じになってたけど、やはり2度目になると俺も上級者程度にはなっているな。ガハハハ!)

 というように俺の頭の中では一面のお花畑が広がっていたわけである。そしてメニュー表を見て、前回頼めなかったコーヒーを頼む事に決めて、中条さんが決め終わるまで待つ事にした。1分程待っていると、どうやら中条さんも注文を決めたようだ。


「新海君、注文するの決まった?」

「うん、決まったよ。中条さんは?」

「うん、私も…じゃあ注文しちゃおっか?」

「そうだね。」

 お互いが確認を取り合って、マスターを呼ぶ事にする。


「すみません。注文いいですか?」

 俺がそう言うとマスターが直ぐ様やってきて注文を尋ねてきた。


「ご注文は?」

 俺はそこで中条さんにさりげなくアイコンタクトで譲られたので、先に注文する事にした。


「俺は半熟卵入りカルボナーラとホットコーヒーで。」

「えーと…私はふんわりハニートーストと…食後にカフェモカで。…新海君はもう注文ないよね?」

「あぁ、注文はそれだけだよ。」

「かしこまりました。しばしお待ちください。」

 そう言ってマスターはキッチンに移動して姿が見えなくなった。1人で全てやりくりしているのだろうか。客足があまりないといっても大変そうだなと、そんな事を俺は思っていた。


「新海君って、コーヒー飲むんだ…凄いね?私あの独特の酸味が苦手で…あんまり好きじゃないんだよね。」

 中条さんはばつが悪そうにそう言ったが、俺はそこで自身の知識を駆使して考える。中条さんがコーヒーの酸味を苦手とする理由のだいだいの予想はついていたので、原因究明は簡単だった。


「いや、中条さん。多分それはあまりいい豆に出会っていなかっただけなんじゃないかな?」

「え?どうゆうこと?」

 中条さんは首を傾げて興味津々と言った様子で訊き返してくる。俺はそれに答える。


「確かにコーヒーは酸味があるけど、本来そんなに強いものじゃないんだよ。果物と同等の程よい爽やかな酸味のはず。酸味の強い理由はコーヒー豆が劣化して出てきてしまうものなんだよ。だからしっかりとしたお店の豆ならそれほど酸味は強くないはずなんだ。この店はいい店だから…それなら後で一口飲んでみる?」

(まぁ、この店のコーヒーはまだ飲んだ事がないから実は分からないんだけどね。)


「へぇーそうなんだ、知らなかった。新海君って以外ともの知りなんだね。新海君が言うなら…コーヒー、一口貰おうかな♪」

「うん、俺もコーヒーの話出来る人が増えるのは嬉しいからね。」

 そうして俺は注文の料理が届くまで話していようと思い、口を開こうとした瞬間。少し離れた場所から届いてしまった話声のせいで、順調だった俺の調子は全てなかった事にされた。


「ねぇ夏美(なつみ)あのカップル見た?」

「え?さっき入ってきた人達の事でしょ?」

「うんうん、そうそう。彼氏もイケメンだったし。彼女もチョー可愛いかったよね?!?」

「ちょっと梨奈(りな)?興奮しすぎ。もうちょっと落ち着いて。」

「えぇー?そんな事言われても興奮しないほうがおかしいよね?あんなお似合いのカップル…美男美女…さてさて、この後は何が行われていくのか…ゲヘヘ。」

「ちょっと梨奈、本当にやめてよ。衝動抑えて?多分聞こえてるよ?」

「それでも、やめられないんだもん。彼氏がいる夏美にはわからないよね?ね?」

「いや…今それ関係ないでしょ…?」

 そんな事を言われれば嫌でも意識してしまう。

(ほらみろ、中条さんも顔赤くしてる。おい、この空気どうすればいいんだよ?)

 そして注文した料理が届くまで、俺達の間には沈黙と気まずい雰囲気が流れ続けたのであった。

(あいつ、まじて許さん。俺の調子を返してくれぇぇぇぇぇぇぇえ!!)

 そんな俺の声に出すことのない心の叫びは、俺以外の誰にも届く事なく吸収されていった……。

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