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The Alpha of Definitions

作者: 鈴木美脳
掲載日:2020/01/30

人間:


 太陽系の第3惑星である地球の生命の代表種族。

 外交担当種族。地球生命の守護者。合議によって紛争を解決する能力を持つ。

 体長は1メートルから2メートル。時速4キロメートルで緩やかな地形を踏破する。億を超える個体らが群れをなす。男女の性が存在する。子供として生まれ、個体は100年で死に至る。


政治家:


 政治を担う人間。社会統治の中枢を担う者。支配階級。民衆の守護者。

 産まれくる子供達のうちから、知的能力や社会的な倫理的精神に最も優れた者達が選抜されて政治家となる。エリート。部分集団ごとの利害を代表して調停し、紛争を最小化し生産性を最大化する機能を持つ。


医師:


 治療者。苦痛を取り去る者。幸福の守護者。

 個体の仕組みに最も詳しい。人間自身を知る者。幸福の定義と方法を知る者。

 個体を検査する。肉体や精神から苦しみの源や、苦しみとなる危険のある源を検出し、様々な技術的な方法を駆使して取り除く。幸福を回復する道筋を与える。

 政治家が社会を相手にするのとは異なり、最後まで個人を相手とする。そのため、最も愛情深い若者達が医師を目指す。


経営者:


 集団の代表者。内外の利害を調整する。構成員の生活の糧に責任を持つ。

 他の多くの経営者との競争のなかに置かれる。ゆえに常に工夫をしている。

 必要なら発明を行う。そのような創意工夫の成果を社会幸福へと還元する。

 面倒見のよい者がなる。人々から愛され尊敬される者が、次第に地位を高めて経営者になる。

 公的な機関よりも流動的な立場に置かれ、自らの足で立っているため、自らの頭で考え、自らの目で人を見抜く力に優れている。


教師:


 教える者。人々が彼や彼女から学び取る者。迷う若者に幸福への道を示す者。

 人としての模範。

 子供を育てることを担当する。充実した心身へと若者達を導く。相手のためを思う優しさと、相手のためを思う厳しさを兼ね備えている。育てた生徒からは恩人と呼ばれ、生涯に渡って感謝される。

 子供達を愛する深い優しさと、才能のある若者達にも物を教えられる卓越した能力を、ともに兼ね備える者達が教師を目指し、教師となる。


兵士:


 戦闘者。勇敢な人々。祖国のために命を賭ける者。

 最も危険で恐怖に満ちた場所に投入されることを選んだ人々。自分以上の何かを守る強い意志を備えた人々。地球生命に危害を加えようとする者達に対する暴力。庶民に涙させる悪意を許さない者達。

 最も勇気があり誇り高い人々がなる。常に死と向き合っており、何よりも名誉を大切にする。

 集まって軍を形成し、制服を着用する。


学校:


 人間のすべての子供が通って若い頃に訓練を受ける機関。施設や設備。

 厳しい競争のなかで切磋琢磨するが、同時に、老いてなお続く友人が多数得られる。

 生まれたままの人間は、下等な動物と変わらず、自分中心の我欲と、他者に対する残酷性しか備えていない。しかし合理的な教育を施されるなかで肉体的にも精神的にも飛躍的に成長し、人類の成人の一員となる。強大な人間社会の一翼を担うこととなり、子供達や弱者を守る強さを備える。

 すなわち、学校に通うことを通して、一人の人間の人間性は完成する。


〜〜〜〜〜


 そう聞いて私は、納得がいく印象を受けた。

 個々人の人間を見てもいかにも脆弱に見えたものだが、彼らはよく助け合って協調するのだ。

 210年後に本隊が通るまでには、太陽系航路の不穏分子は排除しておく必要がある。

 限られた資源によって、計画は1度で成功させなければならない。


 最も愚かな選択は、軍人を逐次的に抹殺することだろう。彼らは絶えず生産される。

 注目すべきは、人は生まれたままでは動物にすぎないということだ。若者達を教育する仕組みを適切に破壊すれば、彼らは助け合って協調する力を失うに違いない。

 そのためには、学校の機能を腐敗させねばなるまい。模範的な人格を備えた尊敬される教師などいてはならない。人間は人間同士争わせ、代表者たる政治家をして、進んで民衆を売却させなければならない。

 そのために重要なのは、競争の世界に生きている経営者達だろう。彼らからモラルを取り除けば、地位の低い者の多くは、我欲に生きる以外に生きようがなくなる。そのためには、学校から思想や哲学を取り除き、実態を純粋な職業訓練校に堕落させる必要がある。

 そうすることによって、守護者としてのプライドを人類のどの人間からも取り除くことができる。ならば彼らは、最も脆弱な部分を我々に露出することになるのだ。

 そして彼らは、攻撃されていることにすら気づかないまま、内紛に混乱して、やがては滅び去ることになるだろう。


 美しい星に生まれた美しい種族を1つ刈り取るのに、私も心痛まないではないよ。

 しかしすべては大局のため、私も仕事なのだから仕方がない。

 さようなら、銀河の果てにありえた、誇り高き人々。

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― 新着の感想 ―
[一言] 分析的な文体でしたね。 賞賛に思えて、シニカルな内容。 たしかに、思い至った個所が連なります。 世界観として、オリジナル長編向けに、 反映されると好いかも。(^^♪
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