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■謎『美術室前の天井に張り付く目玉』
この流鶯高校の3棟3階、美術室の前の廊下の天井には、大きな目玉が設置されている。廊下の幅をぴったりと埋める正方形の薄い板に、ペンキのような塗料で描かれた、黄色と、黒と、赤の同心円状の模様。目のように見える。
美術部員に対して聞き込みを行ったところ、あの目玉は美術部の卒業生が制作した作品であるという。かつて美術室の廊下に面した掲示スペースには作品名を示す銘板がついていたのだが、それは取れてしまったそうで、美術部の備品置き場に放置されていた。そこに記された作品名は『泣かないで』というものであり、意味はやはりわからないが、あれが目玉であることの裏付けになる。しかし、美術部員はそれ以上のことは一切知らず、あの作品の意味や、なぜ天井についているのかは、大きな謎である。また、本校の卒業生の一人は、作品の製作時期は今から十年ほど前であると証言した。
以上、報告する。
(解答は裏面へ)