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朝日とタバコ

作者: GURO

季節は夏

7月の終わり頃

俺…久保隆明(くぼ たかあき)は、愛車のスバル,インプレッサで日の出が昇る前の深夜、一人である所に向かって行った…

目的地近くにある途中のコンビニで缶コーヒー二本とタバコを買っていき、日の出が昇る時間の近くまで休憩をすることにした。

…そして、日の出が昇る20分前に携帯電話のアラームで目覚め、目的地へ向けて車を走らせた。

コンビニから数分の距離にある峠の麓に着き、そこから更に数分ほど峠を走りそして目的地に到着した。

そこは、地元の人しか知らない日の出が良く見える絶景のスポット。

俺は、通行の邪魔にならないように停車をした。

車から降り、コンビニ袋を手にしてある一角へと向かった。

…そこには、花が添えられてあった。


「久しぶりだな親父。…会いにきたぜ」


と隆明は袋から缶コーヒーを二本取り出し、一本を親父の所に置いた。

隆明も自分の分のコーヒーを開けて少し飲む。

それから、また袋から先程購入したタバコを出して、封を開けて二本同時に口に加えライターで火を着けた。

タバコを軽く吸ってから一本を線香の様に立てた。

隆明はガードレールに腰を掛けて、死んだ親父に話かける。


「なぁ、親父。…親父が死んでから今日で7年が経つな」


返ってくるはずがない返事をそのままに、隆明は話続ける。


「俺は今でも覚えているぜ」


「あれは俺が中1の頃、おふくろに内緒でこの峠に連れてきたこの峠を全開で攻めた事…」


隆明が中1の時、親父の趣味の一つである走りを体験し、その影響で走りの世界に興味を持った。

それから、母に内緒で隆明は親父と一緒にちょくちょく峠に来るようになった。

しかし、7年前の今日…

親父は知り合いの車の横乗りしたまま、事故で帰らぬ人となる。

その場所が現在、隆明が居る場所であり隆明が乗っている車は親父の形見の愛車であった。

隆明は過去の事を思い出しながら死んだ親父に話をしていると…

お互いのタバコが灰になり隆明は、もう二本タバコを取ってまた同じ事をする。

親父にまたタバコを添えた時に、ちょうど日の出が姿を現した。

隆明は、喪服の胸ポケットからサングラスを取って掛けて、暫し綺麗な朝日を見ることにした。

わざわざこの時間帯にしたのは、親父が好きな朝日を一緒に見たい為であった。

朝日を見ながら少しして…

隆明は親父に背を向け家に帰る事にした。


(親父、また来年な…)


そう心の中で言って、車に乗り込もうとした時…


『ああ、また来年会おうな…隆明』


と声が聞こえ振り向くと…

一瞬、タバコの煙が親父に見えたがすぐに親父の幻は消えた。


「ああ、また会おうぜ。親父!!」


と親父に言って、車に乗りエンジンを掛けて家に向けて帰って行く。

早朝の太陽の光を浴びながら…

親父に別れの挨拶代わりにインプレッサの水平対向エンジン特有のボクサーサウンドを思い出の峠に響かせながら走り去る隆明であった・・・

(親父…また来年な!)


初作品です。 お盆にちなんでの思い付きで書きました。

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