六話
母さんの遺言である、神の真理に生きる。
この言葉を何より大きな宝物として、胸の奥にしまいこみ、そのように生き抜こうと、心を新たにするジュンでした。
母は僕に素晴らしい宝物を残してくれた、お金には変えられない宝物を!!
と、ジュンはそのように思いました。
ジュンはジィーっと目を閉じて、神様に無我の境地になってお祈りをしました。
すると、木の枝と木の枝が風に吹かれて、絡み合ったような音がしました。
ジュンは涙を拭いて音のする方を見ました。
するとわずかな隙間から眩いほどの光が射してきました。
「あぁ、太陽様、どうかお助けください。太陽様」
と、すがるように一心になってお祈りをしました。
すると、どうした事でしょう。
空は曇りにわかに大雨となり、山は崩れ、崖が崩れました。
ジュンが入っている牢屋の岩戸も崩れ始めました。
音も立てないで警官に気づかれないようにでしょうか。
ぽっかりと大きな穴が出来、道ができました。
そこからジュンは逃げました。
しかし、警官の見張りも厳しく、警察の人たちはすぐに気が付きました。
「ジュンを逃すな、捕まえよ。
ジュンを捕まえよ」
と、迫って来ます。
ジュンは息をつくのも忘れたように、走りに走りました。
しかし、警官の足は速く、ジュンと警官との距離は、五十メートルぐらいに縮められました。
すると
「射て、射て」
と、上官が命令を出す声が聞こえてきました。
その声と共にピストルの弾がジュンを狙って飛んできます。
耳のそばをヒューン、ヒューンと音を立てて通って行きます。
その時です。
もくもくと霧が発生しました。
ジュンと警官の間を霧が遮断しました。
一センチ先も見えないほどの濃い霧です。
警官達は
「これではどうにもならん、もう少しだというのに、まったく見えないじゃないか!
ちきしょう、逃がしてしもうた。
運の良い悪党だ。
しょうがない引き上げ、引き上げ!」
と、言いながら、警官達は帰って行きました。




