三話
三日が過ぎました。
一家を支えていた母さんが亡くなって、経済的にも困りました。
ジュンはお腹が空いてどうしようもありません。
しかし、ぶどうを取って食べようとはしませんでした。
丘へ登れば沢山のぶどうが実っていますが、盗んではならないと、じぃーっと空腹を我慢しました。
そして、考えました。
(僕は農場で働こう。そして、父さんを助けよう)
その時、父さんが帰って来ました。
ジュンは大喜びで迎えに出ましたが、父さんの横には女の人が立っていました。
その女の人は母さんが生存している時から、付き合っていると聞いていた女の人でした。
母さんが逝って三日しか過ぎていないのに、女の人を連れてくるとは、母さんが可哀想すぎる、とジュンは思いますが、親に向かって思ったことは言えないジュンでした。
父さんはその女の人と暮らしたいのに、ジュンにいられたら困るので、邪魔でなりません。
それと女の人の手前、格好つけたのか
「おい、ジュン。父さんはこの女の人と結婚する、お前は十五歳だ。ここまで大きくしてやったのだから、自分の食べ口ぐらい自分で探して、何処へなり父も消えてなくなれ。俺の目の前から姿を消してくれ。だってここで三人も暮らせないだろう」
(こんな馬小屋に嫁入りして来る、人の気持ちが理解できない。綺麗な身なりをしていて、こんな所で生活出来るのだろうか、それとも父さんに惚れているのだろうか)
と、ジュンは大きな疑問でした。
「とうさん、僕働きますから、ここにおいて下さい。お願いします」
「駄目だ。この人がそう言っているから」
「おばさん、僕が働いて父さんを養いますから三人で暮らしましょう」
「その必要はないわ。私が働いて貴方の父さんを養ってあげるから。心配しないで出てお行き。それに、貴方がどうして養うことが出来るの。自分の食べ口もないくせに」
と、下僕にでも言うような口調で言います。
母としての優しさなど何処にもありません。
「ああ、坊や、仕事が見つかってお金を稼いだら、父さんにお金を送っておやりなさい。分かったね、親孝行はするんだよ」
と、冷たい言葉で命令口調で言います。
(何という女だろう。父さんももっと良い人を探せば良いのに。母さんはあんなに良い人だったのに)
と、ジュンは思いました。
父さんはジュンに言いました。
「ジュン、十五歳まで大きくしてやったのだから、父さんの責任は終わっても良いだろう」
「はい、分かりました」
ここまで大きくしてくれたのは母さんなのですが、ジュンはそのようなことには知恵の働かない、反抗心のない子供でした。
このような父さんでしたが、ジュンは父さんを愛していました。
愛する父さんに出て行けと言われ、ひどいショックを受けました。
(父さんとも別れて暮らすの、僕は完全に一人っぼっちになったのだ)
孤独感が全身を襲い、涙もでない苦しみがひしひしと迫ってきます。
どのようにあがいてみても、ここに自分の住む場所は何処にもないことを、気付かされるジュンでした。




