十話
〜再び警察に追われて〜
強盗殺人のあった農園を、ジェムス農園と言います。
ジェムスという人が経営していたのでそう呼びます。
強盗殺人があった時、ジェムスは従業員と一緒に殺された、という人もいましたが
「いや、生きているよ、だって昨日、ジェムスに会ったよ」
「生きているのか、従業員よりジェムスが死ねばよかったのに」
と、いう人もいます。
ヘンリー農園に来た警官たちは、ジュンが逃げたことを知ると、必要以上に追跡しました。
ジュンも一生懸命で走りましたが、警官は馬に乗り、犬を使っての追跡です。
警官も何百という人数なのです。
少年一人を捕まえるのには、あまりにも大げさに思えますが、ジュンは何と言っても、岩戸を破って逃げた豪力の悪党だ、と警官たちは思っておりますので、物々しいばかりの出立なのです。
人間には限界があります。
ジュンは疲れました。
これ以上はどうあがいてみても走れません。
コルクガシの木の根元に、腹ばいになって隠れました。
しかし、犬がワンワン吠え始めました。
「おーい、ジュンがいたぞ、犬が見つけたぞ」
ジュンの周囲を犬が囲みました。
警官たちは、やっとジュンを捕まえたと思いました。
ジュンは、諦めました。
死刑台に立っている自分を想像しました。
そして、涙を流しました。
その時です、急に空が曇り、土砂降りの雨となりました。
雷声の音も鳴り響きます。
ゴロゴロとすさまじい音です。
稲妻が走り、稲光に馬がいななき、乗っっていた警官は振り落とされました。
犬も大雨のため、嗅覚を失い吠えなくなりました。
ピストルも雨に濡れて弾が出なくなりました。
稲妻に馬が驚き暴れて逃げますので、警官たちに怪我人が続出しました。
ジュンの追跡より、自分たち事が大変になりました。
「この雨やろう、また、ジュンを逃してしまった。やっと捕まえる事が出来たと思ったのに、悪運の強い奴だ。仕方がない。引き上げ、引き上げ!」
またしても警官たちは、ぶりぶり怒りながら帰って行きました。
ジュンは奇跡的に助かりました。
「神様ありがとうございます」
と、ジュンは心から神様に感謝しました。
土砂降りの雨に打たれながら、ジュンは、神様に感謝のお祈りをしました。




