暁に消える翼 16
早朝、掟は琉哉を叩き起こし出勤準備をさせた。
朝食と共に弁当を差し出したら琉哉は微妙な顔をした。
「……ナニコレ」
「弁当」
「いやそれは分かるけど」
「弁当箱返しに来い」
「……え、それでわざわざ作ったの」
仕事が終わったら掟のアパートへ来い、と遠回しに示している事に気付き、目を見開いて琉哉は言う。
「いや、自分のついで」
別にあんたの為だけじゃない、と自分の分の弁当箱を見せると、ツンデレがどうの女子力がどうのと呟き始めたので朝食を取り上げてやろうかと掟は本気で悩んだ。
昨日のオカンだの今の女子力だの、男子高校生に対して失礼な発言だ。とは思うが何故か前に標や巡、同級生にまで言われた事があるので、自分が特殊なのだろうかと考える。
が、別に料理が嫌いな訳ではないし自分の食べたい物が自分で作れるのだからと気にしない事にした。
「嫌なら別に」
「そういう訳じゃなくて……その、ありがたくイタダキマス」
慌てて弁当箱を抱える琉哉に、
「野菜入れたから残すなよ」
と掟が言うと引き攣った笑みで「……ガンバリマス……」と棒読みで返された。
琉哉と別れて学校へ行く。
整が登校してくるのを待っていたが、ホームルームで担任から『身内に不幸があったので欠席する』と連絡があったと告げられた。
昨日は色々あったので琉哉を泊めたが、今日はどうしたら良いものかと昼休みに弁当を食べながら考えていたら、携帯電話にメールが入った。
『学校休んでごめんねー。夜は時間が取れるっぽいんだけど、掟君のアパート行っても大丈夫?』
実際は色々絵文字顔文字のオンパレードだったが、大体そんな感じの内容だった。
大丈夫だと返信し、ついでに琉哉も来る事も付け加えておく。
その後すぐ返ってきた整の了承メールの最後に『琉哉を泊まらせたのか』という内容の一文があったがそれは無視する事にした。
最初のものよりも簡素になった文面に何故か不穏な気配を感じたので、後で琉哉にも口裏を合わせるように言い聞かせようと掟は思った。




