暁に消える翼 15
琉哉のアパートに着き、宿泊と翌日の出勤に必要な荷物を用意して掟のアパートへ向かう。
着いた時には夕方になっていた。
琉哉はテレビを点けても良いか聞いてきたが、掟はそれに反対する。
日中の事件がどうなったのか、ニュースになっているのか気になっているのだろうが、まだ精神が不安定であろう琉哉に見せるのは危険な気がした。
しかし、どちらにせよいつかは確認しなくてはならないだろうと琉哉が食い下がるので、
「……せめて飯食ってからにしろ」
と妥協した。
小さく「オカン」と言われた気がしたが掟は空耳だと思う事にした。
適当に夕食を済ませ、掟に確認をして琉哉はテレビを点けた。
丁度ニュースの時間だったので、程無く火災の件がキャスターの口から紡がれる。
『昼間に住宅街で起きた火災――』
『火元は居間で三人の遺体が発見され――』
『警察は事故と事件の両方から捜査――』
「まだ遺体の身元は不明、か」
それが普通なのか、現場――有真という家が原因で捜査が遅れているのかは掟には分からない。
しかし、今までの話から整が言っていた様に、きっと真実は公にはならないだろうと確信できる。
「……お金持ちって怖いなぁ……」
同じ事を思ったのか、琉哉が独り言の様に呟いた。
事件に対して、あまり動揺はしていない様に見える。
「金持ち全員が全員権力者な訳じゃないだろうけどな」
そう言うと、琉哉は何故か掟を見て「あー……」と納得した様なしていない様な声を洩らした。
「何だよ」
「いや別に……」
「まあ俺の家も標の家も金持ちに近いものはあるけどな」
近いだけでそこまで裕福な訳ではない。
説得力があまりないのか、微妙な表情で「……ソウデスカ」と言われた。
ニュースが終わったので、今日は早めに寝る事にした。
順番でシャワーを浴びて。
「……あのさ、掟君、一緒に寝」
「ふ ざ け ん な」
思わず低い声が出る。
お互い幾つだと思っているのか。
標と三人で朝食を摂った時の事を思い出す。
彼女に危機感が無いのか自分達を必要以上に警戒していなかったのかどちらだ、と掟は一瞬悩んだ。
そんな掟に気付かず琉哉は「ですよねー……」と呟き。
改めて「おやすみ」と言うと標の部屋へと消えたので、掟もそれ以上不毛な考えをするのを止めて自室へ入った。
携帯のアラームをセットし、ベッドに横になる。
今日は一日やたらと疲れた。
もし眠れなかったら腹いせに琉哉を早朝叩き起こしてやろうと掟は決意し瞼を閉じた。
色気も何もない成人女性と男子高校生の夜会話とか誰得…。




