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暁に消える翼 10

 院長の罪を知った原八木は止めるように言ったが、聞く耳を持たなかったらしい。


 互いに引かない話し合いの中事態が悪化したらしく、自分の父親が近くにあった花瓶を手に、原八木がその足元に倒れるのを見た。


 原八木を助けようと思った訳ではないが、父の態度にまるで冷水を浴びた様な気分になり、暁は咄嗟に何か身を守る物を探し――思い浮かんだのは包丁。


 台所から包丁を一本持ち出し、広間へ戻る。

 暁の側へ背を向けていた父は先程見た姿のまま、呆然と立ち尽くしていた。

 その脇腹へ、包丁を突き刺した。


 動揺した父を尻目に原八木を揺り起こす。

 逃げるように促すが、原八木は暁の腕を掴み、共に逃げようとした。それが命取りになった。

 花瓶を手放し脇腹に刺さった包丁を抜き、父は叫び原八木の腹部へそれを突き出した。


 倒れる原八木を見て、


 ――ああ、父さんは更に罪を重ねるのか。


 ――私のせいで。


 そう思った暁は原八木の腹部に刺さった包丁を抜き、父へと向かい、突き刺した。


 突然の娘の反撃に抵抗できなかったらしき父は、何度目かの攻撃で口を開いたが、もう空気しか出せなかったようだ。


 そうして事切れた父を確認してから、暁は原八木の着ていたスーツを探り、携帯電話を取り出し、琉哉へ電話を掛けた。


 とうとう自身の手を血に染めてしまった。

 更に罪を重ねてしまった。


 今まで生き延びて――生かされていたが、どうせ自分は三年前から『死人』なのだ。

 ならば、今から死んでも構わないだろう。


 思い残した事は――ただ、一つだけ。


 最後に友人の姿を見て、声を聞きたかった。

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