暁に消える翼 7
色々とツッコミ所があるかとは思いますが、『ファンタジー』としてお読みください。
――その新薬はある種の遺伝子異常の治療薬として開発された代物であるという。
だが未だ実験段階で一定の成果は見られず、人体への影響も未知数であるという理由で人間への投与は認可されていない。
……しかし、一部で【漆黒の羽根】、通称DFと呼ばれ、人体実験が繰り返された。
その犠牲者第一号が、有真暁である。
風邪の様な症状が長引いていた暁が病院で検査を受け、悪性腫瘍が発見された。
それを何処からか聞き付けた薬学研究者が、有真院長に持ち掛けた。
『新薬を試してみる気はないか』
と。
いくらなんでも、どんな作用を起こすか分からない薬を家族に試す気にはならない、と有真院長はそれを拒否した。
だが、研究者は引き下がらず、今度は暁本人にその話を持ち掛けた。
「どうせ死ぬなら、誰かの役に立って死にたいと思ったの」
と暁は言う。
悪性腫瘍が発覚した時には既に身体の一部に転移しており、治療をしても再発する可能性が高かった。
ならば、と自ら進んで実験台になったのだ。
それが、悪夢の始まりだった。
――薬を飲んで暫くして、背中に違和感を感じた。
手で確認すると、肩甲骨の辺りにざらりとした感触があり、不気味に思いながら服を脱いで鏡で確認してみれば。
――なに、これ。と洩らした声は自分のものではない様に遠くに聞こえた。
肩甲骨の下、そこには、コウモリの翼のような、黒いボロボロの何か。
新薬の副作用は、暁の身体を異形のモノへと変化させた。




