暁に消える翼 1
――中原高也の一件で、琉哉は外出時には人気の多い場所を選んで歩いていた。
平日には仕事があるし、生きている以上は買い物も必要だ。
さすがに高校生や中学生に頼る訳にもいかず、戦々恐々としながら日々を過ごしていた。
……巡に持たされた防犯ベルを鞄に忍ばせながら。
――そんな中。
整から、高也が病院から飛び降りて死亡したとの連絡が入った。
病を苦にしての自殺、と判断されたらしい。
その『病』の説明をどうしたのかは気になったが、整に聞いても無駄だろう。
……もし、助かっていたら高也も暁と『同じ』だったのに、と琉哉は不意に思い、不謹慎だと頭を振った。
自分に危害を加えてくるかもしれないと想像していた高也の予期せぬ戦線離脱に、油断していたのは確かである。
……だからこそ、不意に携帯電話に掛かってきた『原八木匡仁』からの着信に、無防備に通話ボタンを押してしまった。
「もしもし?」
と声を掛けると。
『……琉哉……?』
懐かしいような女性の声に、琉哉は息を飲んだ。
思わず画面の名前を確認する。原八木の携帯電話から掛かっている事は間違いない。
ならば、原八木の知り合いで琉哉を知っているらしきこの女性は――。
「あ……あき、ら……?」
名前を口にした琉哉の声は、掠れていた。




