猫と天使と二重存在 21
「――とまあ、僕の方はそんな事情だった訳で。後は原八木センセイに丸投げしたい所なんだけど……」
整は琉哉を見た。
「中原君の言動を見るに、アキ姉がルカ姉に執着してるっぽくてなーんかヤバい気がするんだよねー」
「ヤバい、って何が」
掟が聞くと。
「何が、って聞かれると困るんだけど。ルカ姉に会いたがってるらしいから注意しろ、ってセンセイが言ってた」
だから、と整は真剣な表情で、
「もしアキ姉が姿を見せたらすぐに逃げて。逃げて必ず僕かセンセイに連絡して。今のアキ姉は何をするか分からない。中原君がどうしてるのかも分からない今、不用意に動かないで」
と念を押したが。
「……でも、暁は私に会いたがってるんだよね?」
琉哉は迷っているようだった。
「琉哉さん」
巡が声を掛けた。
「兄が死ぬ前に言った事を覚えていますか?」
「え――」
「『――自分だけで抱え込まないで。独りになろうとしないで』と、言っていたかと思いますが。……ご自分が何と返されたか、覚えていらっしゃいますか?」
標が言った言葉に、何と返したか。
「……考えてみる、と」
「ええ。考えてみる、生きてみる、と口にしていました。ですから、不用意な行動は慎んでください。自己完結で終わらせずに。手遅れになる前に。ちゃんと、私達に相談してください。お願いします」
「…………分かり、ました」
巡にまでそう言われ、琉哉はそう約束し。
整に見送られて自分の住むアパートまで帰宅したのだった。
二重存在=死んだと思っていた暁の影が高也からうっすらと…的な意味でした。
次、一話挟んで最終章に入ります。




