猫と天使と二重存在 15
「一度会って見たかったんです。『あの人』を裏切ったのがどんな女性か」
――少年が言う『あの人』が、琉哉の知る『彼女』かは判らない。
だが、思い当たる人物は一人しか――。
「ああ、あと縞朔君も見捨てたんでしたっけ」
何でもない事の様に、少年は付け加えた。
「――っ、見捨ててなんか」
「死なせたでしょう?」
琉哉が否定しようとしたが、重ねるように少年は言う。
「『あの人』は天使の様に優しいから。羽根を失ってもまだ貴女の事をまだ信じていて、赦そうとしてる。でも僕は貴女を赦せない。」
抽象的な言い方に、琉哉は疑問を感じた。
まるで、今でも『彼女』が生きているかの様な言い方だ。
だが、標もその様な態度を取る時もあったので、もしかしたら目の前の少年も精神的に脆くなっているのかもしれない。
「縞朔君も可哀想に。『翼』さえ切り離せばまだ生きられたのに」
「……え……?」
少年の言葉に、思わず声が洩れた。
何かに導かれるように、足元の『翼』を見た。
「彼は翼を切り離さずに死んだ。黒い翼を纏ったまま堕天した!!」
少年は自分の台詞に酔っているのか、手を広げて空を見上げた。
「僕は『あの人』の仲間になった――誰にも『あの人』の邪魔はさせない!! 貴女にも!!」
空に向けていた視線を琉哉に向け、少年は叫んだ。




