猫と天使と二重存在 14
――仕事帰り、ふと視線を感じ、琉哉は振り返った。
自分と同様に帰り道を行く者、何処かに寄り道をしようとしている者。
いつも通りの、帰宅路だ。
おかしい所はない、筈だ。
首を傾げながら、琉哉は気のせいかと思い直し帰路へ着く。
そうして歩き、いつもの公園の前を通り過ぎようとして――。
「あの、すみませんちょっと良いですか?」
声を掛けられ、振り返った先には。
見覚えのある制服に身を包んだ、見知らぬ少年がいた。
病的に窶れた顔、梳く事を忘れているかの様な髪。
制服に見覚えがあるのは当然で、かつて掟が着ていたのを琉哉は見た事があった。
「やっと会えた」
と彼は笑顔で言った。
「これはもう必要無いですね」
少年が何かを投げた。
軽い音と共に足元に落ちたのは、コウモリの様な翼――に似た、何か。
――背中にあったであろう『それ』を切り離したのだろう。
『それ』が何か思い至り、同時に胃から迫り上がってきそうになるものをどうにか耐えた。
――制服と、黒い翼。
まさか、とは思うが。
「……君、もしかして昨日、黒猫の尻尾を切ったりしなかった……?」
「ああ、やっぱり気付かれましたか。まあわざと縞朔君の妹の目の前でやったんですけど」
「……目的は巡ちゃん?」
「違いますよ。遠回しに貴女へ僕の存在をアピールしただけです」
つまり、目的は。
「私――?」
予期せぬ状況に琉哉は目を見開いた。




