猫と天使と二重存在 12
「そういえば、掟君知ってる? 今流行りの『切り裂き魔』がここの生徒じゃないか、って噂」
脈絡もなく、整はそう言ってきた。
高也の席を見ながら。
「……知ってる。知り合いが後ろ姿目撃したから。つか今流行りってブレイクしてるみたいな言い方すんな」
どういった意図で話し掛けてきたのか判断に迷ったが、正直に言ってみる。ついでに後半ツッコミを入れてみたが「へえ、知ってたんだ?」の一言でスルーされた。
解せぬ、と理不尽な思いをしていたが。
「……もしかしてかの」
「それは絶対に無い」
言い終わる事すら待たずに掟は遮った。その単語を最後まで聞きたくはない。
そもそもどういう流れでそう思ったのか。その思考回路が分からない。
「まだ最後まで言ってないのに」
「言わんでいい。それより何でお前が知ってる」
最近こんな状況ばっかりだ。
不機嫌になりながら掟は整に促した。
「僕も知り合いから聞いたんだよ」
整は気にする事なく、自分の携帯電話を取り出した。
「その知り合いの知り合いらしくてさ。まあ詳しくは省くけど……実は僕疑ってる人がいるんだよね」
言ってちらり、と整は再度高也の席を見る。
「……証拠は」
「ない。けど病欠なのが怪しいっちゃ怪しいかな」
「暴論だな。……実は俺はお前も疑ってるんだけど」
掟は冗談めかして言ってみた。
「ああうん、知ってる」
以外にも整はあっさりと頷いた。




