猫と天使と二重存在 9
「だとしたら、切り裂き魔は何処で標君の事を知ったの? 掟君が他の友達に話す訳はないだろうし」
二人の会話を黙って聞いていた掟に琉哉は話を向けた。
「ああ……でもクラスに怪しい奴はいる」
掟は言葉を濁すように言った。
「……掟、先程は知らない様子でしたが」
巡が疑いの眼差しを掟に向ける。
「怪しいってだけで切り裂き魔だという証拠はないからな。しかも犯人候補は二人いる」
「二人もいるの?」
「あくまで『候補』だ。巡は犯人の後ろ姿しか見ていないし」
琉哉に答え、掟は巡に視線を合わせた。
「だろ?」
「それは……そうですが」
言い負かされた形となった巡は、不機嫌そうに掟から視線を外した。
巡を言い負かした事で若干気を良くした掟だったが、「とはいえ」と話を戻した。
「候補の一人は最近病欠してるしもう一人はこの間転校してきたばかりだし。どっちも疑おうと思えば疑える」
「もしかしたら病欠は嘘、もしくは最初から標君の事を知っていて転校してきたかもしれない、って事?」
「可能性がある、ってだけだ」
琉哉の言葉に掟は重ねて、確定ではない事を強調した。
その頑なな態度に琉哉と巡は疑問を覚えたが、証拠が無いのは確かなので深く問い質す事はできなかった。




