猫と天使と二重存在 8
「――それで、私が目撃した切り裂き魔なのですが」
居住まいを正し、巡は言った。
「掟から話は?」
「大体は聞いてる」
巡の問いに琉哉は頷いた。
「そうですか。……私には動物を傷付ける事とは別に、わざと高校の制服と『羽根』を印象付けている気がしました」
思い出すかのように顎に軽く右手人差し指の関節を当て、巡は言った。
「そうだったとしても……理由は?」
「『羽根』の事を知っていると私か掟、もしくはお姉さんに気付かせるため、とか」
「私も?」
琉哉は首を傾げた。
「でも掟君と標君以外に高校生の知り合いはいないけど」
「標が『黒翼症』で亡くなった事を知っているならば、お姉さんの事も知っていておかしくはないと思います」
「……ん?」
琉哉は巡の言い方に引っ掛かりを覚えた。
「標君の病名って知り合いなら全員知ってるんじゃないの?」
「いえ、一般的にまだ広まっていない病なので、他の人へ不安を煽らない様になるべく口外しない方が良いのではないかと原八木先生が」
「……そう」
確かに、下手にパニックが起こっては困るだろうが。
納得はできないが、医師ではない自分にはどうする事もできない、と琉哉は思考を切り替えた。




