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猫と天使と二重存在 7

 名前に反して、部屋の中は綺麗で広かった。


 前に一度部屋に入った事が――あれは入ったと言って良いのか分からないが――あったが、その時は詳しく見ていられるような状況では無かった。


 ……2LDKとか自分とは大違いだ、と思わず琉哉は凹んだが自分には関係無いと深く考えるのは止めにした。


「いらっしゃいませお姉さん。ついでにお帰りなさい掟。意外と遅かったですね」

「ついでは余計だ」


 室内にいた巡に、掟は嫌そうに言った。


「こんにちは巡ちゃん。掟君に聞いたよ、無事で良かった」


 琉哉は心の底からそう思った。

 標が死に、巡まで何かあったら両親の嘆きは計り知れない。


「ご心配をお掛けして申し訳ありません、ご覧の通り私は元気です。……ただ、この子の体調が思わしくなくて」


 心配そうに、巡は自身の右下に視線を向けた。


 そこにはミカン箱より小さなダンボールが置いてあり、中には尻尾に包帯を巻いた黒猫が身体を丸くして眠っているようだった。


「この猫は、もしかして巡ちゃんが助けた子?」

「助けには間に合いませんでしたが……はい、そうです。怪我をしているので、放置するのは忍びなく、近くの動物病院に連れて行きました」


 話を聞くと、手当てはしてもらえたのだが最近の切り裂き魔事件で患者(普通にペットとして飼われている動物も被害に遭っていたらしい)が増え、入院させる事はできなかったのだという。


「最初は掟にこの子のお世話を頼もうかと思ったのですが、逆に危険だと思いまして」


 その台詞に「おい」と掟が突っ込んだが巡は無視をして話を続けた。


「お姉さんもアパート住まいですし、私が責任を持ってお世話をしようと思います」

「……そっか、うん、いいんじゃないかな」


 琉哉は巡の様子を見て相槌を打った。


 兄を亡くした中学生の彼女。


 微かに笑みを浮かべて猫を見る姿は年相応に見えた。

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