猫と天使と二重存在 4
「最近『切り裂き魔』が出たって話があるんだけど、あんたは知ってるか?」
再度歩き出してすぐ、掟は琉哉にそう切り出した。
「切り裂き魔? ニュースで見た事ないけど……誰か襲われたの?」
琉哉は眉を顰めた。
「ニュースにはまだ出てないけど……その反応じゃ知らないか。人じゃなくて動物相手の切り裂き魔。大抵は野良猫、野良犬の尻尾が縦に裂かれて発見されてる」
掟の説明に「うわぁ」と呟き、琉哉の眉間の皺が増える。
「眉間に皺」と指摘すると、指で眉間をぐりぐり押した。皺を伸ばそうとしたらしいが、あまり意味がなさそうだ。
「何その動物虐待」
「悪趣味だよな。しかも件数が増えてるらしい。発見が遅れて傷からのウィルス感染だかで死んだりしてるヤツもいたってさ。で、ここからが本題」
一度立ち止まり、掟は琉哉に向き直った。
「巡が切り裂き魔らしき奴の犯行現場を目撃した」
「え!? 巡ちゃん大丈夫なの!?」
「無傷も無傷。塾帰りに裏路地で見かけて、持ってた防犯ブザー鳴らしたら相手は慌てて逃げてったらしい」
「そっか」
危害は加えられていないと知り、琉哉は安堵した。大体よく考えてみれば、何かあったら電話などできる状態ではないだろう。
「それで、後ろ姿だけだけど犯人の姿を見たらしい。……俺の通ってる高校の制服だった」
「それは……誰かに言ったの?」
「駆け付けた警官に巡が言ったらしいけど、対象が動物だからどこまで捜査してもらえるかは分からない。……それよりも、巡が警官に言わなかった事がある」
そこで、掟は一旦言葉を切った。
琉哉が首を傾げるのを見て、戸惑いつつも、
「犯人の背中に羽根の様なものがあったらしい」
と告げた。




