猫と天使と二重存在 3
待ち合わせ場所は近くの公園。
そこには暫く前に言葉を交わしたきりの男子高校生の姿があった。
「遅い」
琉哉の姿を見付けると、挨拶も無しにそう告げられた。
「ごめん」
琉哉は素直に謝り、だが、その後の言葉が続かない。
そもそもあまり気軽に会話ができる相手でもなく、共通点とも言えるべき人物が亡くなる前に会ったきり、顔も合わせていないのだ。
何と声を掛ければ良いものか。
それは掟も同じであったらしいが、数秒視線をさまよわせた後、
「……行くぞ」
と背中を向けて結局歩みを促した。
とりあえず琉哉は間隔を空けて掟の後ろを付いて行く。
「……」
「……」
黙々と歩く事数分。
交差点の歩行者用信号が赤になっていたので歩みを止めた瞬間。
「……おい」
と掟が振り向いた。
予期せぬ動きに琉哉の肩が思わず跳ねた。
「な、何」
「ちょっとこっちこい」
言われて掟の側に寄ると。
いきなり頭突きをかまされた。
ごん、という衝撃と痛み、眩む視界。
「……っ……!!」
あまりの痛さに琉哉が無言で頭を押さえると、
「……っつー……石頭……っ」
掟も額を押さえていた。
二人の他に通行人はいなかったが、端から見ると異様な光景だろう。
「……で、何で頭突き……」
意味が分からず少々不機嫌になりながら琉哉は聞いた。
「これで手打ち。……いや、頭打ち?」
「は?」
「標の件諸々に対して。だから変に引かれると逆に苛つく。何ださっきまでのあの距離ストーカーか話し掛け辛いんだよ!!」
最後は一気に叫ばれた。
……つまり。
掟は琉哉に気を使わなくて良いと言っている、という事なのだろう。
「……いいの?」
「そもそもあいつが死んだのはあんたのせいじゃないし、話ができなきゃ今回呼び出した理由も説明できない」
「……」
何と言って良いのか分からなかったが、とりあえず。
「……ありがとう」
「……おう」
二人は並んで青信号に示された道を歩き出した。




