猫と天使と二重存在 2
「あれ? もしかして掟君?」
『の、携帯です』
何故、と思ったが、よくよく考えてみれば掟は巡の兄の友人だ。それ程不思議ではないだろう。
……しかし、確か掟は巡を苦手にしていた気がするのだが。
『おう』
聞こえたのか、遠くから掟がぞんざいに答えてきた。
『掟』
手でスピーカー部分を押さえたのか、先程よりもくぐもった巡の声が聞こえた。
『……んだよ文句があるなら携帯返せ』
『それとこれとは話が別です』
双方のやり取りを聞いていると、それ程仲が悪いようにも思えない。
「……むしろ仲がいいよね……?」
思わず呟く。
『その発言が私と掟に対しての評価でしたら、全身全霊を以て全否定させていただきます』
「聞こえてた!?」
『しっかりと』
電話越しに巡の冷たい声が鼓膜を震わす。
『大迷惑だ』
憮然とした掟の声も聞こえる。
『それはこちらの台詞です。やっぱり掟なんかに借りるんじゃなかった』
『お前に脅されたから仕方なく――』
『聞こえてますよ』
『――っ』
「……?」
自分に聞かれるとまずい内容なのだろうか?
電話の向こう側のやり取りに琉哉が首を傾げていると、
『……このまま話していても埒が明きませんね』
と巡に言われ。
流されるままに、琉哉は指定された場所で掟と落ち合う事になった。




